夢の中
一方乃愛は・・・
真っ暗な空間に一つの道。その先には、光が見える。
それ以外には何もなく、不安が押し寄せる中、乃愛は歩いていた。
「お母様、お父様どこにいるの?」
ここにどうやって来たのかもわからない。何故私はここの道を歩いているんだろう。怖いよ。
しばらく歩いていると、一つの家にたどり着いた。私の家にそっくりだけど、違う家。
ここはどこなのか知りたくて、インターホンを鳴らしてみるが、誰も出ない。玄関のドアに手をかけて引いてみると開いた。
入ろうか迷ったが、何もわからないままなのは嫌だったから、入ってみることにした。
ぎぃー
ドアはさびているのか、鈍い音を立てた。
中は、薄暗かったが、弱い電気がところどころついていた。この家の外は、真っ暗な空間だったのに、窓から月の明かりが差し掛かっていた。
「っ!」
あと、異様な匂いがした。鼻の奥を劈くような匂い。嗅ぎ続けていたらおかしくなりそうな、何とも言えない匂い。
スカートのポケットからハンカチを出し、鼻を中心に覆う。
家の中を進んでみる。薄暗くてよく見えないが、すごい汚い。散らかってる。
家の中も私の家の作りと似ていた。いや、おんなじだった。
リビングに行ってみる。そこには、金髪のロングの見え覚えのある女性の後ろ姿があった。
「お母様っ!」
顔は見えないけどお母様だと思い、急いで近づくが、反応がない。
不思議に思い、お母様に手を置いてみる。
「きゃっ!」
お母様の肩が溶けた。自分の手のひらを見てみると、赤黒いような、茶色いようなドロッとしたものがついていた。怖くなって、お母様のことなど見ずに、お父様の書斎に駆け込んだ。
バンッ
勢いよくドアを開け、お父様に告げる。
「お母様が!早く来てください!あと使用人も!」
だが、お母様同様動かない。まさかと思い近づいてみる。
そして、お父様が愛用している椅子を回して、お父様の体をこちら側に向ける。
「っ!嫌!」
そこにいたのは、お父様の服を着た骸骨だった。
驚き、尻餅をついてしまった。早くたって書斎を出たかったが恐怖に怯えているのか、足に力が入らない。
そうこうしているうちに、骸骨が動き出し始めた。
学校で習ったり、本読んで記憶した力を使おうとしたが何故か発動しない。
「なんで!?」
使えないことにショックを受けながらも、使えないのなら逃げるしかない!と、
思い、足に力を入れて立ち上がり、走り出す。
そして、無意識のうちに自室にあたる部屋に来ていた。
息切れをし、体震えているのを、なんとかして落ち着かせた。
、ソファーだけ置いてあってそこに誰かが寝ていた。
その人は、黒髪で赤いメッシュが入っている長い髪をしていて、服装は、気軽そうなドレスみたいなものだった。
それが誰なのか確かめたくて近づいてみるけど、顔が真っ黒に塗りつぶされていて、わからない。
もっと、近づけばいいのだろうけど、さっきみたいになるのが怖くて無理だった。
「帰りたい」
心も弱り、顔もグシャグシャにしながら、俯いて無意識に呟いた一言だった。
「じゃあ、帰る?」
「え?」
声が聞こえた方に顔向ける。
さっきまでソファーで寝ていた人が起きて座っていた。
顔は見えないのに、目の瞳は真っ赤だった。
燃えるように赤い瞳で私を見つめながら言葉を繋げる。
「あなたが、帰りたいんなら帰れるよ。だけど、未来は変わらない。
どうする?」
その言葉を聞いて、即答した。
「帰ります。もう嫌です。」
「それでいいのね?」
念を押すように聞かれたが私は頷いた。
「・・・そう。」
その人がそう呟いた瞬間、私の足元に大きな穴があき、落ちた。
「きゃー!」
いきなりな出来事で叫んで目をつぶった。