第1日目 出会い
重たい瞼を開けて私は、ブリューに問い詰めようとし起き上がり周りを見渡す。
そこは、全く違う世界だった。とても甘ったるい匂い。カラフルな景色。建物や植物全てにおいてお菓子でできていた。
まるで、ヘンゼルとグレーテルみたいだ。
でも、ヘンゼルとグレーテルとは少し状況が違う。私は捨てられたわけではないし、意地悪な魔女に捕まったわけでもない。ただ、お菓子でできていたからそう思っただけ。
とても明るくカラフルなこの世界には人の気配がしなかった。潰れた世界なのかもしれないが、それにしては新しすぎる。
何故なのだろうか。
「ちょっとそこの黒い子。何してるの?」
話しかけられた方に目をやると誰もいなかった。気のせいかと思い歩きだそうと足を上げようとしたら上がらなかった。いや正確には上げられなかった。
私の足元には、とても小さな女の子がいた。金色の綺麗な髪に青色の瞳。白いワンピースを身にまとっている。女の子の身長は10センチくらいだろうか。とても小さいのに力があって、私の足はビクともしなかった。
「離してくれる?私、今急いでるの。」
何に急いでるのかは私のもわからなかったが口の方が考えるより早かったみたいだ。
「嫌よ。だって、私が質問してるんだから答えなきゃいけないのはあなた。で、何してるの?」
女の子はもう一度私におんなじ質問をする。
「私は何もしてないわ。」
「そうなんだ。じゃあ、質問を変えるわ。何故ここにいるの?」
「その質問は答えられないわ。私にもわからないもの。」
「何故わからないの?」
「目覚めたらここにいたからよ。さて、私への質問はここまで。今度は私の番。あなたはなんなの?何故ここにいるの??」
答えても帰ってくる質問をしてくる女の子に興味が湧いたから私も質問することにした。
「あら、残念。私は妖精。ここを守る妖精なの。」
「じゃあ、何故私に話しかけてきたの?」
「妖精だから。」
「そう。あなた私に付いてきてくれない?」
「あなたについて行ったら何があるの?私を楽しませてくれる?」
「えぇ。私がゴールにたどり着くまでついてきてくれるんだったら絶対って言っても過言ではないわ。」
それを聞いた妖精は目を輝かせてついて行くと言ってくれた。
「ありがとう。あなた名前は?」
それを聞くと妖精は少しションボリとして答えた。
「私には名前が無いの。」
「じゃあ、私がつけてあげるわ。そうね。フランなんてどうかしら?私の好きなお菓子からとったの。」
「フラン。可愛い。ありがとう!」
とても喜んでくれみたいでよかった。私も軽く自己紹介をした。
フランはその日ずっと笑っていた。