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チョコ神  作者: 歌奈汰
11/15

目覚めて知ったこと

「そして、その中で残っていたのは・・・」


「ちょ、ちょっと待って!」


話を続けようとするブリューを私は慌てて制す。


「そんなわけない!私にそんな記憶はないし、目覚めたのついさっきで、


ブリューだけしか見かけてないけど、お父様達の匂いや使用人の匂いだってあるわ


しかも、さようならの一言でみんなが消えるわけないじゃない!」


ブリューの言ってることを否定する。


私は、ブリューの口から出てくるだろう言葉を聞きたくなかった。


「落ち着いてください。最後までお話をお聞きください。


確かに、さようならの一言で、部屋にいた全員が消えるなどありえませんし、


たとえ魔法でも、かなりの体力を使うので、あまり好まれないですし、相当危ない時などでしか使われません。


ですが、消えたという意味が違うのならばどうでしょうか?」


「い、いや!」


私は耳を塞いで、その場にしゃがみこんだ。


聞きたくない!


それでも、話を続けようとするブリュー。


耳を塞いでも、音が小さくなりながらも聞こえてくる。


「死んだのです。」


私の目には涙が溜まっていた。だけど、こぼれないように堪えていた。


「その場にいたほとんどが死んだんです。たった一言で。


そして、その中で生きていたのが、主人達だけでした。


ですが、ボロボロで、あなたが目覚める少し前に亡くなられました。」


お父様とお母様が死んだ?


「う、嘘だ!二人が死ぬわけない!最強の魔法で守られているはずよ!」


何かが崩れた音が、いや壊れた音がした。


私の目に溜まっていた涙は、溢れ、無情に乾いた木の床に落ちていく。


必死の思いで否定した。


「だって、私の魔法なんだよ?」


泣いているせいか、声がだんだん小さくなる。


「使用人の匂いも主人たちの匂いも、残りカスみたいなものです。


あなたに記憶がないのも当然といえば当然でしょう。


貴女は、貴女であってアナタではないのですから。」


かすれている声で聞き返す。


「どう、いうこと?」


「あなたの中にはもう一人いるのです。その赤い髪も、赤とオッドアイの瞳も


さようならの一言で全員が死んだことも、すべて、もう一人なのです。」


髪を見ると、真っ赤な色になって、体つきも変わっていた。


「なに。これ。いや!戻って!」


「無理ですよ。どんなにも願っても戻らない。あなたが気付かない限り。」


いきなり眠気が生じた。


もうダメ。


ブリューが何か言っているがあんまりわからない。


ここで、寝てしまってはダメだとわかっているのに、目を閉じてしまった。


「花ですよ!!」


ブリューがそう叫んだのを最後に意識を手放した。


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