眠っていた時間
「あなたは3カ月間の時間眠っていた。倒れたとき誰もが慌て、あなたのことを心配した。
あなたを嫌っていたあの青年さえもこの事を聞くとこの家にきたぐらいです。
主人は言いました。
「どんな手段をとっても構いません!一刻も早く乃愛を起こすのです!」
いつもの雰囲気などどこにもなく、額に汗を浮かべ必死にあなたを起こす手段を探していました。
なんともないようですが、あなたの体には色んな跡があるはずです。」
そう言われ、体を確認してみると確かにあった。
「痛みはないようですが、あなたが眠っている間、あなたの体は火にあぶられ、
釘刺しにされ、水の中に沈められ、銃で心臓を打たれ、首を絞められ、体の中の物を取り出され、引き裂かれ、その他にもたくさんの事をしています。
普通の者ならば死んでいることではありますが、あなたは、目覚めるどころか、
死にもしなかった。いや、正確には死んでも生き返った?ですかね。
それを繰り返し、一ヶ月が経ったある日から、眠っている貴女に変化が出始ました。
あなたの髪の色や体つきなどの見た目が変わっていくのです。
日に日に髪は、毛先から赤色に染まり、体は、今の体型よりも成長し、顔も大人びていきました。
今の貴女は、元に戻っていますが、近いうちに変化があるでしょう。
それを見た主人は、顔が青ざめていき、貴女に魔法をかけるようになりました。
その魔法により、あなたの変化は、一時的に止まり、つい一週間前までは魔法をかけ続けていました。
ですが、一週間前から魔法がいきなり効かなくなったのです。
それに加え、貴方の変化の進行は以前より早まっていて、もう止めることはできませんでした。」
変わらぬ表情で話すブリューについていきながら、頭の中で整理する。
「髪の色が綺麗で鮮やかな鮮血の色に染まった時、貴女は目覚めました。
主人たちも目を見開いて、涙を流しました。
目覚めた貴方の瞳は髪と同じ赤と鮮やかで美しい金色のオッドアイでした。
そして、貴方が目覚めて最初に発した言葉は、
「さようなら」
その瞬間、部屋にいるほとんどの者が消えました。」