6話 魔法の力
先ず俺の希望で服屋に来た。
もっと早く来たかったのだがレイスにあんまり頼りっぱなしも悪いなと思ったのと、バイトが終わったのでやっと給料が昨日貰え、これからのことも考えると服はどうしても必要になると思ったからだ。
流石に、ずっと制服のままというのはこの世界では目立ちすぎる。
あまり華美にならないような大人しめの服とフードつきのコートを購入することにした。
「ボックスはお持ちですか?」
ボックス?
ボックスという名前から何かを収納したり箱か何かだということは、なんとなく分かる。
だけど、箱に服をしまうだろうか。
普通は仕舞わない気がする。
「じゃあ1つ下さい」
レイスは、ボックスを購入するみたいだ。
「では、お求めの品はボックスにお入れしますね」
購入した服を店員さんは後ろに持って行ってしまったが、直ぐ戻ってきた。
「どうぞ」
店員さんから受け取ったボックスは、掌に乗るくらいの小さな正方形の形の箱だった。
この小さな箱の何処に、どうやればさっきの服が入るのだろう。
原理が気になるところだ。
「後で説明してやるから、早く行くぞ」
レイスは何かを察したのか後で説明してくれるらしい。
これだけ聞くものがあると、説明は長くなりそうだな。
「ありがとうございました」
店員さんの挨拶を聞き、店を後にした。
途中で図書館に寄り例の本を返却し、街を出た街から少し離れて誰もいない所まで来た。
「ここらで良いな」
いよいよ魔法が見れるのか。
「そうですね」
ユウナもこの場所なら魔法の発動に問題ないと考えている様だ。
「じゃあ、さっそく頼む」
レイスが背負っていた剣を抜き構えた
「じゃあ先ずは、武器に魔法を付加するから」
ゲームでも聞いたことのある魔法だ。
確か武器の魔力を付加すると切れ味や強度が増し、属性が付き攻撃の破壊力が上がる。
魔法の付加はこんなところだっただろうか。
[ウィンドフォース]
レイスが魔法名らしきものを口にすると、魔法を発動したのかレイスの剣を中心に風が逆巻いているように見える。
だが、この魔法がそれほどまでは危険には見えない。
「まあ、こんな感じだ」
レイスが剣を見せながら言ってきた。
「あんまり危険に見えないけど、危ないなのか?」
流石に、触ったりは危険なのは分かるのだが、そこまで警戒して幾ほどのものにはやはり見えない。
「この魔法はあまり強くないからな、次の魔法と比べるて貰うため見せたんだ」
比べるためということは、次は強力な魔法を見せてくれるのだろう。
「行くぞ」
[エレギオン]
唱えられた言葉と共に、空から強烈な発光と共に巨大な雷が大地に突き刺さった。
雷が落ちたせいなのか若干地面が揺れた気がする。
なんだ、今のこの強烈な雷!
雷が落ちた場所の地面は、そこまでは大きくないがクレータのように地面がえぐれてしまったいた。
「「………」」
俺とユウナはあまりにも強烈なその魔法に呆気に取られしまった。
「凄い、確かに街では使えない」
思わず声が漏れた
この破壊力の魔法は、確かに街の中で使うわけにはいかないだろう。
危な過ぎて街で使えない訳だ。
「なんでこんな簡単に上級魔法を使えるんですか!?」
ユウナが凄い勢いでレイスに迫り尋ねる。
「まあ、あまり気にしないで」
ゲーム同じで下級、中級、上級と上に上がる毎に、威力と必要魔力量が上がり扱い辛くなるのだろう。
ユウナの反応を見ると、上級魔法は難しく使える人が少ないのだろう。
「裕也に魔法の危なさを知って貰えるように、ちょっと難しい魔法にしたんだよ」
あれを見れば魔法の危なさが分からない人はいないのではないだろうか。
「それじゃあ、上級魔法が使えたことの説明になっていません!」
ユウナが真剣に食い下がる。
確かにレイスの答えでは、ユウナの質問に対する答えになってない。
「やらないといけないことがあるから、じゃ駄目か?」
やらないといけないこと?
あまり聞いたらいけないところだと感じた。
誰にだった話したくないこと、秘密にしておきたいことはあるだろう。
「ある奴を助けることだ、これ以上は言えない」
レイスは少し暗い。
その相手が心配なのだろう。
「じゃあ、次の説明に行くか」
レイスが明るさを取り戻していた。
ユウナも、しぶしぶではあったようだが諦めたようだ。
「次は、白の魔法についてだ」
白の魔法か。
属性の説明のところで出てこなかったところを見ると少し特殊なものなのだろう。
「白の魔法は、属性魔法じゃないだから魔力があれば誰にでも使える。特徴は身体能力を向上させたり、傷を治したりとかが出来ることかな」
なるほど、身体能力向上させたり治癒したりできるのか。
魔法は便利だなとつくづく思う。
ちょっと待てよ、身体能力の向上というところが頭に引っかかる。
「もしかして、バイトの時あんまり疲れてなかったのは、白の魔法使ってたからか?」
「まあ、そういうことだ」
「白の魔法教えたら使おうとするだろう?お前は魔力はあるから使えるだろが、先ず体を鍛えないといけないと思ったから今まで教えなかった」
これからを考えると、魔力ばかりに頼るのはよくないだろうし、体を鍛えておく必要もあったのだからしょうがない。
今頃分かっても、過ぎたことだし納得するしかない。
「じゃあ、次はボックスについてな」
服しまったやつだな
「ボックスは、このこの大きさだがタンス10竿分くらいまで物が仕舞えるんだ」
掌に乗っかるこの小さな箱に、どうやればそんなにものが入るのか、どういう原理なんだすごく気になる
「どういう原理になってるんだ?」
半四次元空間みたいなものなのだろうか
こんなに小さな箱だが、凄すぎる。
いったいどうなってるんだ?
「それが、原理は作った本人にも分からないらしいんだ」
「はぃ?」
作った本人にも分からない?
そんなことはあるのか?
「そうなんですよ、全くどうなっているのか分からないままらしいです」
ユウナが軽くフォローをれて来たことで、作った張本人にも分からないものができてしまったことが分かった。
偶然の産物ですかなこれは
と自分の掌の上のボックスを俺は見つめていた。
2012/09/09誤字・脱字を修正しました。