2話 ローグ街と質問
あれから数時間歩くと城壁のようなものが見えてくる。
多分、あれがローグの街でファンタジーみたいに魔物が侵入しないようにあの壁が街をすっぽ
りと囲んでいるのだろう。
街の入口まで来くると門番が2人立っている。
こんなところまでしっかりファンタジーなんだな
ここで困ったことに気がつく。
身分証明できるようなものがない。
正確には、学校帰りだったこともあり、学校の制服を着ているため、胸ポケットに学生証と内
ポケットに財布とボールペン、メモ帳だけはある。
きっと、この学生証も身分証明としての意味をなさないだろう。
「どうしたんだ?」
突然立ち止まったからか、レイスも足を止めこっちに振り向く。
「身分証明ができない」
率直な回答だが、このタイミングだからレイスはすぐに察してくれたようで
「身分証はいらないよ」
それはすごくありがたいことだそれならさっそく街に入ろう。
止めた足を再度進め街の門を潜った。
門を潜るとそれはそれはゲームの世界の街そのまんまの光景が広がっていた。
前にやっていたゲームの街と比べるとだが、この街はなかなか活気のある街に見える。
辺りを見回すと剣や盾などの武器、防具から果物や野菜であろうものまで普通に売られていて
、道端で祭りの売店みたいな感じで商売が行われている。
広場のようなところでは、噴水があり子供がきゃっきゃ声を上げ遊んでいる。
そんなところを横目に宿に到着し、ドアを開け宿に入った。
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「レイス、本当にすまない」
何が済まないって、俺は今お金持ってない。
財布はあるが全く違う通貨のようで、全く使えそうにないからだ。
「いいよ別に、旅にトラブルは付きものだし」
と言ってレイスは俺の分の宿賃まで払ってくれた。
俺はトラブルか
確かに間違ってないがなんだか非常に申し訳ない。
部屋に入り、ベッドに腰を下ろす。
「ふぅー」
さすがに疲れた。
学生をやっててここまで歩き続けることは普通ならないだろう。
この状況自体が普通じゃないけど。
「疲れたか?」
「ちょっとね」
「そうか、今はゆっくり体を休めるといいよ」
俺のことが気になると思うのにレイスは何も聞いてこない。
こっちもまだ頭の中を整理しきれてないからありがたい限りだ。
「後で聞きたいことがあるけどいいか?」
この世界のこと何も分からないからまずは知識が必要になるはずだ。
レイスに聞いてみるのが今の最善の方法だろう。
「いいよ、質問なら答えるよ。何なら今からでも良いけど?」
レイスはそう言ってくれているけど、まだ質問する内容が煮詰まってない。
「いや後でいいよ、まだ聞きたいこと決まってないから」
それからはそのまま宿の食堂で夕食を食べた。
さっき道端で売っていた野菜らしきものを使った見たことない料理の数々は、最初見たとき少
し敬遠したけど、空腹も味方をしたのか結構美味かった。
部屋に戻り二人掛けのテーブルにレイスと向かい合って座る。
レイスが目の前にいて、これからどんなことを聞かれるのか興味津々という感じがする。
「車に引かれたところまでは覚えているんだけど、どうしてあんなところにいたのかさっぱり
わからないんだよね、何かそんな現象に心当りない?」
レイスは軽く合図地をいれながら聞いてくれて話しやすい。
「車ってなに?」
「お?」
若干俺は首を傾げた。
あ、そうかここには車がないのか
俺が馬鹿だった。
こんなファンタジーな世界に車があるはずがない。
あるとしたら、この街の感じから行くと馬車だろう。
と頭の中で自己解決していると
「で、車て、なに?」
再度同じ質問が飛んできた。
「車は、簡単に説明すると4個の車輪で馬とか別の動力を使わずに自力で走ることが出来る乗り
物なんだ」
「馬使わなくても良いなんて凄く便利だな」
レイスは、車に関心したのかうんうんと頷いている。
確かに馬車とは比べられないくらい便利だと俺も思うから何とも言えない。
「そうだったのか、何も持ってないのにあんな山の中にいたのか」
レイスも自分の中で自己解決したのだろう。
「まぁ、よくわからないけど無事だったからよかったということで、時間も時間だし明日は早
いからそろそろ寝た方がいい、また明日いろいろと教えるからさ」
レイスはテーブルから立ちベッドに入る。
「じゃあ、お休み」
「ああ」
そして俺もベットに入り寝ることにした。
和樹と母さんどうしてるかな
もしかして俺の葬式の準備とかだったりして……
あんまり冗談になってないよな
そんなことを考えながら思考が眠りに落ちていった。
2012/09/09誤字・脱字を修正しました。