本当はいい国◇大好きな場所
「ああ、おかえ――…」
魔法陣もなく戻ってきたキオウに突然しがみつかれ、アゼルスは驚きながらも我が子を抱き止めた。
――…泣いていることはすぐにわかった。
初めこそ驚きはしたものの、アゼルスはすぐにやわらかな笑みと包容で我が子に応える。
「どうした? お前、いつもなら小さな頃の姿になってから飛びついてくるじゃないか。
んん、どうした? キオウや…」
アゼルスは喉を慣らすような優しい声音で我が子に語りかける。
自分の傍らへ戻ってきた守護霊に無言で問いかけたウィズジーだったが――…、静かに首を振られたために、ひとつ頷いてこの父子を見守る。
「坊や、どうした? なにがそんなに悲しいのかな?
今な、話がひと段落ついたから、インパスのケーキを食べていたんだよ。お前も食べるだろう? 甘さが控えめだから、お前のはクリームを乗せて――。
あ、こらこら。そんなにしがみついたら痛いじゃないか。力が強くなったなぁ…――あ、こら。だから、痛いと言っているだろうが。
やれやれ…、満足するまでそうしておいで」
「……父上…」
「ん?」
「――…もう、大丈夫だから…」
「………? キオウ?」
「…。ううん、なんでもない」
――大丈夫。
父上が畏れている事態は、俺が絶対に起こさせない。




