キオウへの疑問◇ピエロ氏との直接対決
「――――ッ!!」
ずざざざっ! とベッドの端まで後退したパジャマ姿の青年キオウが、声にならない悲鳴をあげた。
未だに絶好調でボコボコと暴れる麻袋を持つレイヴは半ベソ状態である。
「キオウ~、どーにかしてよ~~~ッ」
「ど、どどど…っ、どーにかしろだぁ~…ッ!?」
壁に背を押しつけたキオウ。なおも逃れようともがいて、あえなくベッドと壁との間にすぽっと落ちる。
「もういやだぁぁ~っ、手ぇはなす~~ッ」
「離すなッ! 頼むから離すなッ!!」
「俺もう限界ぃぃ~~~ッ」
「どーにかしてやるから離すなッッッ!!」
キオウはドア付近で抜剣しかけているジークを「手ぇ貸せ」と手招き、ハマった隙間からようやく脱出した。
ちなみに、床ではまーくんが猛スピードで無意味に転がっている。この理解不能なイベントが楽しいらしい。
「うげぇ…、この穢れはマジで吐きそう…」
「おいおい、しっかりしろよ」
「わーかってる…。俺は青柳の賢者、キオウだぞ…」
「マジで頼むぜ、賢者サマ」
ジークにひらひらと手を振り応えたキオウは、自分に聖水を振りかけた。杖を支えによろよろと立ち上がる。
そして嫌々ながらも、まっすぐと麻袋を見据えた。
「………」
――あ、視えた。てか、視えちまった。
うわ…、これはふざけた展開だなー…。
げんなりとした表情を仲間に向ける賢者サマ。
「…ピエロ、だな?」
「うん、ピエロ」
「そう、ピエロ」
「…。気に入らん…」
今回の件は全てが気に入らん。
何もかもが気に入らん。
キオウは毅然と顔をあげ、魔法陣をめぐらせた――。




