キオウへの疑問◇お昼寝で充電中
――…くーくー…、という平和な寝息。
小さい姿のキオウである。
「コ、コイツ…」
ガックリと脱力するジーク。
俺達が苦労して頑張っているというのに、くーくー寝やがって…。
「ジークは心が狭いなぁ。きーちゃんは可愛いから許せるよ」
「ハタチだろーが。可愛いはねーだろ…」
「今年で21になるらしいよ? 誕生日知らないけど」
「――ふあぁぁ~…っ。リンゴのタルト美味しかったぁ…。
あれれー? おはよー」
目をこすりながらむっくりと起き上がったキオウが、近くにいたジークに「むぎゅーっ」としがみつく。
「お、おいっ」
「まだおねむなんだよ~ぅ」
「寝りゃあいいだろーがッ」
「じゃ、寝るー」
「え…っ、本当に寝ちまうのか!?」
ぽてっ…、とベッドに転がったキオウ。
唖然とするジーク。ニコニコとするレイヴ。
「きーちゃん、夢の中でいいから聞いてくれよ。
例のブツはキーシの部屋にあるみたいだ。見つけたら、どーすればいい?」
あれに入れて、とキオウの声が頭に直接聞こえ、ふたりはまるで指で示されたかのように机へ目がいった。
机上には、謎の文字がピッチリと書かれた麻袋。
「あれに入れるんだね。次は?」
カナヅチを用意して、と眠たそうな賢者サマ。
「なんでカナヅチ?」
《叩き壊して欲しいんだよねぇ~。もうね、めッちゃめちゃのギッタンギッタンに♪》
「こわッ。きーちゃん、こわッ!」
「で?」
《壊したら、この御札で燃やしてね。袋ごと》
この御札、と聞こえたと同時に、頭上から御札が1枚、ヒラリと降ってきた。
「燃やす、って?」
「俺知ってる。実家で習ったのと同じだと思う」
「実家で? 習った?? ワイルドな環境だねぇ」
「燃えろ、って念じるだけで発火するんだろ?」
《うん。でも、これで喚べる火は『そーゆーモノ』しか燃やさないんだ。船が火事になる心配はないよ》
「へぇ~」
「じゃ、行くか」
《気をつけてねー》
キーシの部屋へと向かう途中――…、ジークはふと、すっかりここの生活に馴染んでしまった自分に失笑した。
脳みそに直接話しかけられようが、いきなり御札が降ってこようが、もはや驚きもしない。まーくんが転がっている光景も当たり前となったし、時々キオウが気まぐれでやってくれる夜の花火も楽しみのひとつになってしまった。
なんだか…、自分がどんどん普通ではなくなってきている気がする。
――ま、承知でコイツらと一緒に行動しようって決意したんだけどな…。
ジークは空に向かってヤケのため息をついた。




