追放されました
「夢⭐︎キャンディから抜けてくれないかしら?」
「…え?」
遡ること10分前…
私は桜坂鈴音。魔法少女「夢⭐︎キャンディ」に所属する、中学2年生の魔法少女。今日はメンバー達に呼び出されたので、約束の喫茶店に向かっているところ。
「次は〇〇公園前、〇〇公園前でございます。〜〜…」
「あ、降りなきゃ」
バスを降りると、頭上から桜の花びらがたくさん降ってきた。どれも綺麗な桃色で、見てると心が和む。
「うわ、桜の花びらすごい…」
「あ、鈴音。待ってたよ、こっちこっち!」
「美咲、お待たせ」
私はメンバー達がいる方向に歩き始めた。視界の隅に入った、少し汚れた桜の花びらの存在には気づかずに。
「莉子、愛菜、鈴音着いたよ!」
「鈴音〜、待ってたよ!さあさあ座って〜?」
「こんにちは鈴音。わざわざ来てくれてありがとう」
「莉子、愛菜、やっほー」
私は持っていたバッグを椅子に掛けて、席に着いた。
「よいしょ…ところでみんな、話って何?」
私がそう問いかけると、みんなは急に張り詰めた顔になった。そして、紫担当でありリーダーの愛菜が口を開いた。
「あのね、鈴音。申し訳ないんだけど…夢⭐︎キャンディから抜けてくれないかしら?」
「…え?」
「ごめ〜ん鈴音。正直言うとね、鈴音は足手まといだった。魔法の威力はすごいんだけど、そのせいで爆発したり周りの物を壊したりしてるでしょ?そういうの、ちょっと迷惑だった〜…」
「あと、テレビ取材の時も。ああいうのに慣れてないのは分かるんだけど、それにしても噛みすぎだよね?どことなくぎこちないし…あれじゃ人気が下がっちゃうよ」
「私達のこれからを考えると…鈴音みたいな足手まといはいない方がマシなのよ」
「足手まといは、いない方がマシ…?」
「そう。だから抜けて〜?」
そうだ。思い返せば私、魔法少女になって4ヶ月間、みんなに迷惑かけてばっかりだった。こんなんじゃ、こう言われるのも仕方ないよね…
「…ごめん。私、今までみんなに迷惑かけてた。私、いない方がいいんだよね?」
みんなは同じタイミングで首を縦に振った。
「分かったよ。私抜ける。魔法少女、やめるね」
「…よし、よく言った鈴音!じゃあ抜けてもらうよ!」
「キャンディストーンを出して?」
「…はい」
愛菜は一瞬考えるような素振りを見せて、変身アイテム「キャンディストーン」に触れながらこう言った。
「…桜坂鈴音は、これより正式に夢⭐︎キャンディを引退し、魔法少女活動も停止する。…キャンディストーン、砕け散れ」
すると、今までほんのり桃色に光っていたキャンディストーンは、一瞬にして砕け散り、光も消えてしまった。それは、ただの割れたガラスのような見た目だった。
「…うん、これで正式に魔法少女は引退ね」
「なんか鈴音がいなくなると思うと清々する〜!もうストレスフリーに戦えるんだよね〜!」
「鈴音、ごめんだけど私めっちゃ嬉しい。2人とも、これからもよろしくね!」
「ええ、よろしく」
「よろしくね〜!」
気づくと私の足は勝手に店の出口の方に向かって動き出していた。
「あ、待って鈴音!このキャンディストーンもういらないからさ、なんかの記念にとっておいたら?」
「あ…うん」
私は割れたキャンディストーンをバッグにガシャンと入れ、早足で店から出て行った。
「…はぁ、嘘でしょ、これは夢じゃないの?」
私は自分の頬をバチンと叩いてみたけど、ちゃんと痛みが伝わってきた。
「夢じゃない…もう、これからどうしよう?」
本当は楽しいはずの日曜日の街中で、私は1人唸っていた。
読んでくれてありがとうございましたm(_ _)m
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