-98- いたちごっこ
私達の人間社会は、いたちごっこのように繰り返される対立構造の出来事が多い。A→B→A→B→Aのように繰り返される構図です。理想は繰り返さない人間社会ですが…。^^
壷倉は、テンションが下がる気分的な苦に悩まされていた。通院が終われば気が楽になり、通院が迫れば、また気重になる・・という繰り返しの苦である。
通院の日が二日後に迫ったとある日の朝である。
『また病院か…』
壷倉の気分を解説すれば、さほど悪くもないのに、どうも病院で悪くされているような気がする…というものだった。さらに解説すれば、ああしろ、こうしろと患者が望んでもいないのに命令口調で指示する医者の顔は見たくもない…というものである。そこで壷倉は考えた。医者は何にうちとっ追われているのだろう? と。医者はハサミだとすれば、患者は俎板の鯉の紙たから石が必要になる。石は何だろう? …と、医者の弱みは必ずあるに違いないと考えた訳である。
『忠臣蔵だな…』
壷倉の発想は飛躍した。^^ 大石…大石内蔵助…忠臣蔵・・となった訳である。^^ 壷倉はさっそく、忠臣蔵の資料を歴史研究家のように集め始めた。
『なるほどな、憎き吉良の首をこのようにして刎ね取ったか…』
壷倉の発想によれば、首を刎ね取るとは今でいう解雇処分だった。だが、解雇されれば医者も黙ってはいないだろう。と、なれば、ミッション・インポッシブルだな…と、壷倉の発想はさらに膨らんだ。繰り返される鼬ごっこは嫌だからである。
かくして壷倉は、テンションが下がる気分的ないたちごっこに今も悩まされ続けている。理想は、テンションが下がらないお医者さんに遭遇することなんでしょうが…。まあ100%は、無理なんでしょうね。^^
完




