-95- 死後
誰もが死ぬより生き続けられることを望むに違いない。私も、そうです。^^ 死後はどうなるか? という不安は誰にもあると思いますが、この不安、なんとかなりませんかっ!^^ 理想としては、これこれ、こうなるんですよっ! という回答を得ることですが…。死語の不安を取り除くために一役買っているのが信仰なんでしょうね。ただ、迷信は犯罪を齎しますから怖いですが…。^^
年老いた梅干は、特別介護老人ホームに入所し、しみじみと考えていた。あれだけ美人が来たっ! 美人が来たっ! と持て囃されていた自分が、今は、そこにいたのか…とも言われなくなった現実を目の当たりにしていたからである。
「梅干さん、お茶が入りましたよ…」
「はいはい、どうも…」
同じ入所者から声をかけられ、梅干は車椅子で休憩所へと向かった。
「今日は慰問バンドが来るようですよ…」
「そうなんですか?」
「ええええ。なんでも昔バンドをやっておられた数人の方がいらっしゃるそうです。バンド名は確か…」
思い出せないのか、ほんの少し考えたあと、入所者の老女は快活に口を開いた。
「そうそう! OGE SUNRISEでした…」
「えっ!? おじいさんが山登りされるんですか?」
「ふふふ…そうじゃありませんが」
「ふふふ…違いましたか?」
死後とは縁遠い話が特別介護老人ホームに谺するのでした。
死後のことは忘れ、精一杯、毎日を楽しく生き続けた方がいいようです。^^
完




