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-90- トリクル・ダウン

 トリクル・ダウン・・小難しい話になるが、要するに、(容器が液体で一杯になり)溢れて(したた)り落ちるというような意味らしい。これもまた小難しい話になるが、経済学ではトリクル・ダウンを一つの効果と捉える。富裕層が十分過ぎるほど富を蓄えれば、余剰の小さな利益を貧困層に与える効果を期待できるという説です。理想はそうなのですが、現実の人間はより(したた)かで、余剰の小さな利益をも、さらに蓄えようとする訳です。レ-ガン大統領やサッチャ-首相がガックリ! と肩を落とされたことでも有名な効果だと言われています。^^

 江戸末期のとある藩である。飢饉(ききん)もようやく終息し、実りの秋を迎えようとしていた矢先、六公四民の触れが百姓衆に(もたら)された。それほどまで、藩は財政危機に陥っていた訳ではなかった。いや、飢饉の際も農民の貧苦をよそに栄華を(むさぼ)っていたのである。

「皆の衆! お上は、おら達に死ねと言うだがやぁ~~!」

 隣の藩は四公六民だったから、いい殿様だと評判だった。それに比べ、うちの殿様は搾り取るだけ搾り取るのか…という鬱屈した不満が、この藩では暴発寸前にまで達していた。トリクル・ダウンどころか、(しぼ)り取られては(たま)らない。農民達はついに藩内の各地で立ち上がったのである。乱の勃発だった。

 世知辛い人の世ですから、トリクル・ダウン効果は期待しない方がいいようですね。^^


                   完

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