-9- 食べられる量
理想とする食べられる量は腹一杯だが、食べ過ぎて胃薬の厄介にならなければなりませんから、そうもいきません。^^
虫干は夢を見た。キッチンの椅子に座った瞬間、テーブルの上には食べきれないほどの幾品もの豪華なご馳走が皿に盛られて湯気を立てていたのである。これは夢だっ! 夢に違いないっ! と虫干は夢の中で一瞬にして思った。しかし、いい匂いと湯気から放たれる暖かさは本物に近かった。いや、そんなことはないよな…と思いながら、虫干は目の前に置かれたナイフとフォークを手にすると食べ始めた。妙なことに感じた味覚は美味だった。虫干は、まあいいや…と食べる速度を増した。だが食べても食べても一向に満腹になる感覚がない。やはり、夢か…と虫干はふたたび、思った。とはいえ、いくらでも食べられることは虫干の理想とするところだったから、不満などあろうはずもなかった。そうこうして、幾皿ものご馳走を食べ終えたとき、虫干は急に眠気に襲われた。
気づくと、テーブルに突っ伏して虫干は目覚めた。妙なことに食べ終えた皿、ナイフ、フォークはすべて消えていたが、不思議なことに満腹感だけが残っていた。それにしても、いくらでも食べられるのはいいな…と、虫干は単純に思った。
量に関係なく食べられる・・というのは理想ですよね。^^
完