-89- 安物
物の高い安いをどうこう[どぉ~たらこぉ~たら]言うつもりはありませんが、やはり安物はそれだけのものだな…とは、長い経験から感じます。^^ 中には掘り出し物もありますが…。ほとんどは、骨折り損のくたびれ儲けですね。^^
とある競馬場である。前科三十五犯の豚尾は、またよからぬ悪事を企んでいた。競馬のはずれ馬券を、さも当たり馬券のように改造して入場客に売り捌くペテン師と呼ばれる詐欺まがいの犯罪である。むろん、れっきとした犯罪行為だった。その豚尾を密かに尾行する猿尻警察署の刑事、馬川が今日も現行犯逮捕しようと、つけ狙っていた。
「コレなんですがね。お安くしときますから…」
豚尾は競馬新聞と他のレースのはずれ馬券を見せ、前レースがはずれて腐る一人の入場客に声をかけた。
「ま、万馬券じゃないですか…」
その入場客は、目を皿にして馬券と競馬新聞を見比べた。そこへ馬川が割って入った。
「はい、そこまでっ! お客さん、安いハズレ券で、高いお金は手に入れられませんよ、ははは…」
こうして豚尾は現行犯逮捕され、哀れにもふたたび留置場へ戻る人となったのである。ご愁傷様です。^^
安くて手に入れられる高い物なんて、ほとんど無い訳ですから、皆さん甘い話にはご用心っ!^^
完




