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-8- 好き勝手

 好き勝手に生きられるのが理想だが、そんな都合よくこの世は出来ていないのが残念といえば残念です。^^

 今年こそ好き勝手に生きるぞ…と心に決意し、正月二日の書初めに臨んだ雲川が筆を走らせたその四字は[自由奔放]だった。

『よしっ! これで行こう…』

 心の内で満悦しながら、誰が見ても達筆とは思えない半紙に書かれた墨字を眺め、雲川はニンマリと北叟笑(ほくそえ)んだ。ところが、である。その年の暮れになったとき、雲川はガックリと肩を落とし、テンションを下げていた。すでに年が暮れようとしているのに、何一つとして好き勝手にいかなかったからである。雲川は、しみじみと考え込んだ。

『アァ~しようとすればコゥ~なったからなぁ~』

 何がいけなかったのか? と考えれば益々、考えがややこしくなり、雲川は考えないことにした。そしてその年も暮れ、翌年の一月二日が巡った。雲川はまた筆に墨をにじませ、半紙に向かっていた。雲川は勢いよく筆を半紙の上へ下ろした。書かれた四字は[自由奔放2]だった。

『自由奔放2(ツゥ~~)! このツゥ~~ってとこが味噌だ、ははは…』

 雲川は一年経ったその年頭もニンマリと北叟笑(ほくそえ)んだ。そしてまた年が暮れようとしていた。事態が去年とは変化し、ツゥ~~が効いたのか、雲川は好き勝手に生きることに成功していた。好き勝手に生きることには成功した雲川だったが、その分、翌年にすることが倍になっていた。雲川はふたたびガックリと肩を落とし、テンションを下げていた。^^

『…好き勝手に生きられても、これじゃなぁ~~』

 年の瀬がまた迫り、雲川は好き勝手に生きようと思わないことにした。

 理想は好き勝手に生きられることですが、人は好き勝手に生きられない、としたものかも知れませんね。^^


                   完

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