-75- 欲しいモノ
どんな人でも欲しいモノは出来る。理想どおり欲しいモノが手に入ればそれに越したことはないが、世の中はそう甘くないから、ある程度のモノで満足しなければならない。金にモノを言わせて…という人もおられるようですが、そうして手に入れたモノは残念ながらその人には靡きません。^^ まあ、人によりけりで、人によっては靡く場合もあるようですが…。^^
奥目は欲しいモノだらけで悩んでいた。欲しいモノを手に入れる金は、今の月給からして到底、無理だったからである。
『ぅぅぅ…』
奥目は心の願望をグッ! と堪えて我慢した。全てが全て購入出来ないということではなかったから、購入が可能な安価なモノは入手して我慢した。それでも十分に満足できる心境に到達することは無理だった。
「奥目さん、最近、元気がないですねぇ~」
後輩社員の出顎が、訝しげに訊ねた。
「コレだよ、コレっ!!」
奥目は今、一番欲しいモノのパンフレットを出顎に見せた。
「…ああ、ソレですか。いいですけど、少し値が張りますね」
「だから、弱ってるんだよ…」
「中古なら安いのありますよ」
「この前、バッタモノで損したからなぁ~」
バッタモノとは、すぐダメになる商品を、購入後に破棄されるのを見越して転売目的で販売する悪徳商品である。
「ああ、そうでしたか…。でも、よく吟味されれば、新品同様のいいモノも、ありますよ」
「そうかな…」
「ええ、なんなら私が探しときましょうか?」
「ああ、頼むよ」
こうして奥目は出顎に下駄を預けた。
その後、どこでどうして入手したかは分からなかったが、出顎は奥目が欲しかった安価なモノを奥目に手渡した。
「安かったな…。コレ、代金だ」
「はい、確かに…」
出顎は奥目から代金を受け取った。こうして奥目は、理想の欲しかったモノを入手することが出来たのである。
このように、欲しいモノは方法によっては入手が可能になる訳です。要は頭の遣いよう・・ということでしょうか。^^
完




