-62- やり過ぎる
何ごともやり過ぎはよくない。やらない方がよかった…などと後悔するのは嫌ですからね。理想は、ほどほど・・とうことになりますが、その程度は物事によって違いますし、やる人によっても違いますから難しいですよね。^^
とある町役場の係長、峰川は、その日もいつものように仕事を終え、課を出ようとしていた。そのとき、課長の浜岡が突然、呼び止めた。
「あっ! 峰川君、ちょっといいかな…」
急いでる訳でもない峰川としては、断る理由もない。
「はい、何でしょう…」
峰川は急ぐことなく課長席へと取って返した。
「実は春の異動で、君を課長補佐にどうだろうという話が出てるんだがね…」
「わ、私がですか…」
「ああ、まあ課長連中の話だから、部長以上はどう考えてるか分からないんだがね。一応、君を候補として推しといたんだが…」
「はあ…」
「まあ、そうなるとだ、もう一つ、コレっ! というインパクトが欲しい訳さ、ははは…」
「はあ…」
「移動発令までの辛抱だから、一つ頑張ってくれないだろうか…」
浜岡はそれとなく峰川に発破をかけた。管理職になれると聞いた峰川としては堪らない。よしっ、やるぞっ! …と一気に気分が高鳴った。
「が、頑張りますっ!!」
それからというもの、峰川の残業が始まった。目的はアピールである。ところが、やり過ぎはよくない。移動発令の一週間前、過労で入院する破目に陥ったのである。当然、課長補佐の話は立ち消えとなってしまった。
理想は昇任出来ることですが、何事もやり過ぎはダメになるリスクが高いようです。^^
完




