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-61- 予想

 予想したことがピタリッ! と当たるのが理想だが、世の中はそう上手くは出来ていない。宝くじ[経済学でいう流動性選好{お金を手放そうとする気持}の三動機の一つ、投資的動機]なんかですと、当たらないだろうが…くらいの軽い予想で、当てにせず忘れた方がいいと思いますけどね…。^^

 とある町工場の社長と工場長を兼務する久坂は焦っていた。アレコレと予想したことが、ものの見事に全て外れるからである。

「久坂さんっ! 納期は明日ですよっ!!」

「分かってるっ!」

 現場責任者の田所に鋭く訊ねられ、久坂は思わず声を荒げた。材料は二日前に入る…と予想していた久坂の予想は外れ、今朝になっても工場に入荷していなかったからである。

「またか…」

 そう久坂が独りごちて諦念した瞬間、工場の前へ運送用トレーラーが着く音がした。久坂は思った。『予想しなれけゃいいのか…』と。

 それ以降、久坂は全てが全て、コトの流れに委ねることにした。その場、その時対応である。すると妙なもので、すべてが思いどおりに

なったのである。

 理想は予想したことがその通りになることですが、予想しない方がいい結果が得られるということでしょうか。でも、間違わない鋭い判断力が必用視されますから、場合にもよるでしょうね…。^^


                   完

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