-46- アレコレ
日常の生活を送っっていると、アレコレと雑用が出てくる。何もしないで気楽に過ごせるのが理想ですが、そういう訳にもいかず、世の中の柵の中で私達は齷齪と戸惑う訳です。のんびりと長閑に、何の心配ごともなく、何の健康上の不安もなく、何の不自由もない理想郷で暮らせないものですかねぇ~~。^^
豪華な別荘で暮らす蛸壺はベッドの中で壺入りしたように眠っていた。
『ご主人様、お食事の準備が整いましたが…』
ホテルでコールする内線電話よろしく、一人の老人の声がどこからともなく寝室に流れた。この家の執事長の声である。その声は低からず高からず、赤子を揺り起こすような柔和な声に音響装置で調整されていた。
「おお、爺か…。あと三十分ばかりで行くから…」
『分かりました。では、そのように…』
アレコレすることも何一つない、蛸壺の快適な暮らしが始まった。
朝シャワーを軽く終え、洗顔、歯磨きを済ませた蛸壺は豪華な軽装に着替えると足をウネウネと伸ばしながら食事の間へと進んだ。
美味な朝食を済ませた蛸壺は、何不自由なく居間で理想の音楽に聴き痴れた。
アレコレすることのない、こんな理想郷の境遇で暮らしてみたいものです。^^
完




