表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/100

-39- ランク

 理想のランクがある。高からず低からず、そう身の負担にもならず、居易(いや)い相応の地位に就けるということです。^^

 二月とはいえ、まだ肌寒いとある市役所のとある課の朝である。

「おはようございますっ!」

「ああ、おはよう。君はいつも朝が早いねっ!」

 関心感心っ! とでも言うかのように、課長の魚目は係長の海老川に返した。

「いやぁ~、早朝のジョギングの続きでして…」

「というと、まだ朝は食っとらんのかい?」

「はあ、まあ…」

「そりゃ、よくないな。まだ時間は十分ある。これから前のコンビニでパンと牛乳でも買って食べて来なさい…」

 そういうと、魚目は財布から千円札を一枚出して海老川に手渡した。

「いや、これは…」

「いいから、いいから…」

 いつも仕事で手助けする利口な海老川に恩義を感じていた魚目だったこともあって奢ったのである。

「そうですか? では、遠慮なく…」

 海老川は軽く一礼すると課内から出ていった。出勤時間にはまだ小一時間は優にあった。魚目の理想は部長ポストだったから、そのランクまで昇任するまでに、まずは次長のランクが見え隠れしていた。そのためには海老川の手助けがさらに必要だった・・ということもある。

 春三月、人事異動の内示が発令された。残念ながら、この年の異動は小規模で、魚目にお呼びはかからなかった。千円札の撒いた餌は徒労と帰したのである。

「まあ、いいか…」

 魚目はさらに先の人事異動を目指し、撒いた餌を忘れることにした。

 理想とするランクに近づくためには、慌てず、一歩一歩努力するたゆまぬ姿勢が必要なんですね。^^


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ