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-32- 手続き

 確定申告の時期が近づいたが、理想は手続きがシンプルな方がいいのは当然である。どうも日本のお役所は書式が多い上に複雑多岐で、ムダなように思えます。^^

 とある町役場のとある窓口である。一人の老人と対応する職員がどうたらこうたら[どうのこうの]と言い合っている。

「だから、先ほども申し上げましたように、この紙をよく読んで手続きして下さい、と申しあげたんですよ」

「そんなに申し上げてもらわなくてもいいから、何枚もあるこの手続きの紙の意味が分からないから、こうして来てんだっ!」

「手続きの紙の意味がお分かりにならないなら、ご家族のどなたかにお訊き下さい」

「私ゃ、独居老人なんだっ! 誰に話せと言うんだっ!」

「弱りましたね…」

「私だって弱ってんだっ!」

 そのとき、(しび)れを切らせた次の番号札の老人が二人の会話に割り込んだ。

「ゴチャゴチャ言い合ってないで、早くしてくれんかっ! あとが(つか)えてんだっ!」

「やかましいわっ! 黙って待ってろっ!」

「なにぃ~~っ!!」

 売り言葉に買い言葉で、手続きは縺れ(もつれ)始めた。

 理想の手続きは簡便な方がいいようです。^^


                   完

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