-30- 一夜漬け
一夜漬けといっても、何もお漬物のことではない。^^ 年が明けた頃ともなると、大学受験生にとっては魔の受験シーズンが始まる訳です。^^ タイミングよく重点を置いて勉強した問題が出れば幸いですが、そう上手く世の中は出来ていませんよね。^^
雲上は、やるだけのことはやった…という思いで試験場の大学の門を潜った。
『君の偏差値ではね…。まあ、受験するのは君の勝手だが…』
担任の教師にネガティブな進路指導を受けた雲上は、『大きなお世話だっ!』とは思ったが、そうとも言えないから「はいっ!」とだけ小さく返した。内心は、『言ったなっ! 見てろよっ!』だった。^^ 受験日はひと月後に迫っていた。その夜から雲上の猛勉強が始まった。全てを全て・・ということも出来ず、出来なかったところは受験日の前日に一夜漬けで頭へ知識を詰め込んだのである。
大学の門を潜り受験する試験場に入った月川は、俎板の鯉の気分で、一夜漬けした教科の試験が始まるのを待った。
「始めて下さい…」
試験官の声を合図に、場内の受験生は一斉に問題に取り組み始めた。月川が問題用紙を開けると、タイミングよく一夜漬けした範囲の試問だった。やったぁ~! と月川は歓喜して問題を解いた。
そして見事、月川は合格したのである。合格掲示板を見ながら、『ざまぁ~みろっ!』と月川は胸を張った。
まあ、一夜漬けは、いつもタイミングよくヒットするとは限りませんから、お漬物のようにじっくり漬け込んだ方が美味しく食べられますよ。^^
完




