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-3- いい暮らし

 理想のいい暮らしとは何だろう…と思いを馳せれば、案外と単純なことが分かる。大人になれば、アアダのコウダのと小難しく考えるから分からなくなるのかも知れない。要するに、何事にも(こだわ)らず、時流に流されればいい・・ということに尽きる。自我に目覚めることで無邪気が消え、邪気が生ずるから理想のいい暮らしが思いつかなくなるのかも知れない。^^

 角鹿(つのじか)は、のんびりと温泉の湯に浸かりながら寛いでいた。久しぶりの温泉町への一週間ほどの長旅だったから、なんとなく心が高まっていた。ここ最近、物価高もあってか、旅にも出られなかった角鹿は、解放された気分で湯舟に乗せた盆の酒をチビリチビリと味わいながら最高潮の気分に達しようとしていた。自宅でアレコレあるストレスをすっかり忘れ、これがいい暮らしだな、このままここに住みつくか…などと冗談半分に思ったりもした。自然と鼻唄も飛び出し、ホロ酔いに露天の心地よい風が角鹿の気分をさらに高潮させた。ところが、である。

 次の日もまた次の日も湯舟に浸かり、美味い料理に舌鼓を打っていると、少しづつだが、いい気分が薄れてきた。舌が肥える・・という現象で、美味いものを食べ続けることで美味さが薄れていたのだ。それと同じで、温泉宿での暮らしが、必ずしも安定したいい暮らしではないような気がしてきた角鹿は、しみじみと思った。

『家へ帰ればアレコレがあるが、しかし家の暮らしがいい暮らしなのかも知れん…』

 一週間が過ぎ、角鹿はアレコレある自宅へ戻り、安定したいい暮らしを取り戻していた。

 アレコレと雑事が多い自宅での暮らしが理想のいい暮らしなのかも知れませんね。^^


                  完

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