-29- タイミング
-29- タイミング
物事には理想のタイミングというものがある。食べたいときに金はなし・・では困りますからねぇ~。^^
月川は久しぶりにコレ! という目的もないまま、ブラァ~っと買物に出た。繁華街の通路をブラブラ漫ろ歩いていると一軒のアンティークショップ店前に月川の好みの調度品が展示されていた。[特売品]という赤札が付いており、価格はその手の調度品としては格安の値札だった。
『おっ!! いいねぇ~』
瞬間、月川はコレ、欲しいな…と思った。だが、タイミングの悪いことに、持ち合わせの金は食事代+αぐらいで、その場で買える額は所持していなかった。月川は店に入って購入予約だけでもしよう…と思い立ち、店の中へ入った。
「あのぉ~、すいませんっ!」
「はいはい…」
声に反応し、店奥から店主と思われる老人が現れた。
「表に展示されたの、買いたいんですが…」
「ああ、お客さんっ! 申し訳ありません。十分前に買われた方がおられるんですよ。今、売約済みの紙を貼ろうとしてたとこでして…」
「でしたか…。どうも…」
「お悪いことで…」
月川はタイミングの悪さにすっかりテンションを落とし、軽く一礼すると店をあとにした。少し腹立たしく思えた月川は、美味いモノでも食って帰るか…とタイミングよく通りがかった洋食屋へ入り、熱々のジュ~シィ~なメンチカツ定食を食べて帰路に着いた。
月川さんのタイミングは一勝一敗でしたか…。タイミングは全ていいとは限りませんよね。^^
完




