-28- 思いどおり
生きていく上で思いどおりにコトが運べばそれに越したことはありませがが、飽くまで、そう成るのは理想でしょう。まあ、思いどおりに成るか成らないかは人によって確率の違いがあり、ほぼ思いどおりに成る人からほとんど思いどおりに成らない人まで千差万別のはずです。^^
都心にあるとある中央省庁である。二年先に定年退官を迎える口崎は、熾烈な最終出世戦の最前線に立っていた。同期の出海込んでいたのである。その憐れな口崎を二柱の神様が天界から見ておられた。
『少し可哀そうですな、あの男…』
『そうですな。最後ですから思いどおりにさせて上げますかな、ははは…』
『ですな。では、そういうことで…』
承った神様は両の手をポンポン! と叩くと、お付きの神様補佐に何やらゴチャゴチャと耳打ちされた。大相撲でいう関取の付き人のような存在である。^^
『そのように…』
お付きの神様補佐は頷くと、スゥ~っと霞のように消え去った。
その二日後、春の人事異動の内示があり、口崎は事務職の最高位であるとある省庁の事務次官に就任したのだった。
口崎さん、思いどおりになった訳ですね。よかった、よかった!^^
完




