-21- バージョン・アップ
最近のパソコンはバージョン・アップが度々(たびたび)行われる。その結果、従来のバージョンのパソコンがケアされなくなり、見捨てられたようにセキュリティ対応が出来なくなり、ユーザーを苦しめている。理想はバージョン・アップしなくても済むプログラムの開発である。企業利益etc.を考えれば、そうもいかないとは推量されますが、年金暮らしの私は本当に困ります。携帯もそうですよっ!^^ そんな方々も多いと思われますが…。^^
とある町役場である。
「月並君、どうかね!?」
「なにが、ですっ!?」
月並は課長の日下の言葉をフォア・ハンドのリターン・エースで打ち返し、40-0で第一セットを勝ち取った。
「…新しいそ、ソレだよっ!」
「ああ、コレですか…」
機械音痴の日下はパソコンの新しいバージョンが分からず、言葉を噛みながら月並のデスク上のパソコンを指さした。日下の指先が幾らか震えているのを察知て月並はニンマリと哂い、冷静に返した。
「どうだい、調子は?」
「はあ…。まあ、こんなもんでしょう!」
「どんなもんだいっ!?」
今度は日下が、バック・ハンドで月並の言葉を鋭く打ち返し、第二セットを取り返した。
「…馴れれば、大丈夫ですよ」
「そうか…。頼んだよっ!」
職場の墓場と呼ばれる監査課は、退職前で機械音痴の職員ばかりで、唯一、カンフル剤として送り込まれた機械通の若い月並が頼りの課だった。
職場とは関係なく、理想にほど遠いパソコンのバージョン・アップは困りますよね。^^
完




