-20- 巡り合い
人は人との巡り合いの良し悪しで人生が決まるといっても過言でもない。理想はいい人に巡り合うことですが、残念ながら上手く巡り合えないことが多いものです。^^
真面目だけで生きてきた麦岡だったが、運悪く巡り合いはさっぱりで、今までいい人物に出食わしたことがなかった。そんな麦岡は、心機一転、お祓いでもしてもらおう…と、とある神社の宮司にお願いしてみることにした。
「はぁ~、そうですか…。交通安全とか合格祈願とかはさせて頂いておるんですがな。いい巡り合い祈願ってのは、私のところでも初めてでしてな…」
「宮司、そこを何とか…」
「はあ…。まあ、神様のことですから、お頼みをすれば何とか叶えて下さるとは思うんですがな…」
「そう、ですかっ! では、よろしくっ! 御玉串料はたっぷり包ませて頂きますので…」
宮司はたっぷりの御玉串料と聞き、ニンマリと哂いながら態度を前向きに方向転換した。この世は何事もお金! なのである。まあ、お金でしくじるということも多々ありますが…。^^
麦岡が祈祷を済ませて半年が過ぎた頃、バッタリ出会った人物との巡り合いは幸運にもよかった。麦岡はようやく自分にも春が巡ってきたな…と、テンションを上げた。
『ふんっ! 今までのアンタの人生が気の毒だから、同情しただけだよ…』
天界から、冷めた神様の声が小さな雷鳴とともに響いた。
理想の巡り合いというのは、生きていく上でそう多くはなさそうですね。巡り合いが悪くても、投げずに頑張りましょう。^^
完




