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-10- 妻

 我が国では古くから良妻賢母の鏡と言われる女性がいる。山内一豊の妻、千代である。嫁にするならこんな女性に限るのだが、昨今、こんな出来のいい女性にはお目にかかれない。女性を差別するつもりは毛頭ない禿頭(はげあたま)で失礼します。^^ しかし、残念っ!^^

 戸澤夫妻の正月風景である。

「あなたっ! もう八時よっ!! いつまで寝てるのっ!!」

 戸澤がいい気分で寝ていると、突然、祁魂(けたたま)しい声が耳元に響いた。ぼんやりと薄目を開けた戸澤の前には鬼の形相をした妻が立っていた。

「疲れてんだっ! 正月なんだから、ゆっくり寝させてくれよぉ~~」

 懇願するように戸澤は上布団をスッポリと頭から(おお)い、海亀になった。

「そうはいかないわよっ! 今日は初詣に出かける約束だったでしょ!!」

「ああ、そうだけど、何もこんな早くからじゃなくていいじゃないかっ!」

 売り言葉に買い言葉である。理想の妻にはほど遠いな…という気分で、戸澤は妻の顔を見た。

「そりゃそうだけど…。遅けりゃ混むでしょ!!」

「ああああ、混む混む、ドット・コム…」

 戸澤は咄嗟(とっさ)にダジャレで身構えた。だが、このダジャレが以外にもクリーンヒットとなり、首尾よく妻に受けた。

「寝坊助のわりには、上手く言うじゃない!」

 ニンマリ(わら)いながら、妻はキッチンへ撤収した。戸澤は、やれやれ…といった気分で、また上布団を頭から被った。

『触らぬ神に(たたり)りなしかっ!!』

 戸澤は妻に従うことにし、瞬間、布団から跳ね起きた。

 理想にはほど遠い、女性が強くなった昨今ですと、妻に従う戸澤さんの発想が正解なんでしょう。^^


                   完

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