第4話「力の泉への旅立ち」
夜明け前の静寂の中、陽介は小さな荷物をまとめ、村を後にする準備をしていた。彼の手には、リナから託された地図と小さな木の箱がしっかりと握られていた。目指すは地図に記された「力の泉」。そこに行けば、万能アイテムボックスの秘密、そして自分がこの世界にいる理由が分かるのではないかと期待していた。
「本当に行くの?危なくない?」村外れまで陽介を見送ったリナが、不安そうに声をかけた。陽介は彼女の頭に軽く手を置き、安心させるように微笑む。「大丈夫さ。この地図を渡してくれたおかげで道は見えてるよ。それに、戻ったらまた話を聞いてくれる仲間がいるって信じてる。」
リナは少し安心したようにうなずき、陽介を見送る。「必ず帰ってきてね。」その声が後ろから聞こえてくる中、陽介は一歩一歩前に進んでいった。
森の中へと踏み入ると、風景は急に険しくなってきた。木々は生い茂り、足元はでこぼこした岩と絡まる草で歩きにくい。「これは…ちょっとした運動だな。」陽介は冗談を言いながらも注意深く進んだ。
そのとき、茂みの中から低い唸り声が聞こえてきた。振り返ると、一匹の巨大な獣がこちらを見据えていた。その鋭い目と長い爪に、普通の人間なら動けなくなってしまうだろう。だが、陽介は冷静だった。「よし、万能ボックス。頼むぞ!」
ボックスから即座に取り出したのは、大きな槍。陽介はそれを手に獣と向かい合った。「お前は通さないぞ!」と叫ぶと同時に、槍を振るって威嚇する。獣は一瞬怯んだが、すぐに飛びかかってきた。陽介は槍を巧みに操り、相手の動きを封じながらも最後は何とかその場から追い払うことに成功した。
「ふう…危なかった。」額の汗を拭いながら陽介は一息ついた。「本当にこの世界では気が抜けないな。でも、ボックスがあればきっとなんとかなる。」
その後も進むうち、陽介は地図の示す目的地に近づいていることを感じ取った。地形が次第に開け、遠くに小さな光が見える。「あれが『力の泉』なのか…?」期待に胸を膨らませながら陽介は足を速めた。
ついにたどり着いた場所には、神秘的な輝きを放つ泉があった。泉の周囲には小さな花々が咲き誇り、その中心で泉の水が静かに揺らめいている。「これが…力の泉。」陽介は思わず息をのんだ。
泉に近づくと、陽介はその水に手を触れてみることにした。すると、突然光が弾けるように放たれ、彼の手に温かい感覚が広がった。「これは…何かすごい力が注ぎ込まれるような感じだ。」
そのとき、陽介のボックスが突然震え始めた。「え?どうしたんだ?」彼は慌ててボックスを取り出すと、中から新たなアイテムが現れた。それは一見普通のペンダントのようだったが、不思議な光を放っている。
「これも泉の力なのか…?」陽介はそのアイテムを手に取り、次の行動を考え始めた。「このペンダントが何を意味するのか、これから探る必要があるな。」