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第97話 料理を食べるまでの道のり


◆ルナの視点


 ムカムカしますね〜!とは思いました。ですが、あの男には2度も助けて頂きました。アイリスの件は別として、彼に礼を尽くさねばなりません。まだお礼の一言も言えていません。どういたしましょう。


◆タクトの視点


 またかよ!

 アイリスと話をしていると、もの凄く強い視線を感じる。……見られてるよ。は〜そんな目で見ないでよルナさん。確かにアイリスはかわいいけど別に変なこととかしないからね。アイリスはちゃ〜っとお姉さんのこと好きだから問題ないよ!でも俺がそう言ったところで怒られるだけのような気がする。さてどうやって機嫌を取ろうか〜………


「ク〜……お腹すいたなの」

 アイリスから可愛らしいお腹の音が聴こえた。そう言えはそろそろ昼時か?俺もお腹すいたな〜………そうだ!美味しい物を食べれば少しは機嫌が直るかもしれない。腹が空いててイライラすることもあるもんな!よ〜しそうと決まれば行動開始だ!


「そうだな、ボクもお腹空いたよ!それじゃ〜ご飯にしようか、アイリス期待してもいいぞ。ボクが美味しい物を作ってやる」


「え!タクトお料理出来るなの?すごいなの!わ~いわ~い」

 バンザイしながら騒ぐ姿はアイリスは相変わらずかわいいな!

 だけどここからが問題なんだよな。


「ルナさんお願いがあるんですけど」

「ダメよ!あなたに任せられるわけないでしょ。アイリスのご機嫌取りね、そうはさせないわよ!」


 ルナさん、2つの意味で間違ってます。

 まず機嫌を取りたいのはあなたです。それと元々こっちが問題、よそ者の俺が料理を作るのはリスクになる。もしかしたら毒を入れるかもと思えば止められるのは当たり前だからな。


「ねぇ〜団長、タクトくんに手伝ってもらいましょうよ〜私だけだと辛いんですけど!」


「アーチ、大丈夫だ!お前だけに任せるつもりはない。勿論私達も手伝おう」


「手伝おうって言いますけど、みんな料理ド下手じゃないですか〜」


「なぁ!?…確かに私は料理が出来るとは言えないが野菜を切ることくらい出来るぞ!」


「はぁ〜、どの口が言うんですかね〜、この間にんじんを切ってたらヘタしかなかったけど、どうやったらそうなるんですかね!」

 ジトーっとルナさんを見るアーチさん。


「あれは千切りにしたはずなのだけど、いつの間にか無くなってたのよ!」


「何が無くなった〜なのよ団長、あれは千切りじゃなくって万切りよ〜粉々にし過ぎなんだって、何度言えば分かるのさ〜」


「な!あれでも私は一生懸命やっているんだぞ!」


「そう言う問題じゃないよ〜団長」

 アーチさんはガクッと肩を落とす。


 そこにレアリーさん横から入る。

「でも団長、実際のところ私達料理出来ないです。刻むくらいなら出来ますけど、聖女様にお出し出来る料理は作れる気がしません」


「それは……そうね。連れて来た料理人は先の戦闘で亡くなってしまったし………」


「だから団長、任せてみましょうよ!タクトくんに」


「う〜んしかし……」


 ルナさんはアーチさんとレアリーさんに説得され悩み始める。お!これはあと一息で説得出来そう。

 そこに今度は聖女様が声をかけた。


「ルナさん、私は生野菜でもパンだけでも問題ありませんよ!でも食べられるなら美味しい物が食べたいですね」

 聖女様の一言が最後の一押しになった。


「はい、そうですね。それでは彼に任せたいと思います」

 ヨッシャールナさんが折れた〜チャンス到来!


 そこに団員の一人が申し訳無さそうに話に入る「団長、ご報告が遅れておりました。その……食材が残り僅かにしかありません」


「なんだって!?……はぁ……次からはもう少し早く報告を頼む」


「はい!申し訳ありませんでした」

 団員は深々と頭を下げた。


「こうなっては仕方がない。まずは森で食材の調達からね」


「あの〜ルナさん、食材に関してはボクの方で準備出来ますので問題ありませんよ」


「んーーしかし君のどこに食材がある!」

「アハハ、大丈夫なんですよ!任せて下さい。でも一人で作るのは大変なんで手伝ってほしいです」

「いや〜君、その前に……」

「ルナさん、それもタクトくんにお任せしましょう。大丈夫ですよ。信じましょう」

 聖女様がボクとルナさんの間に入り説得して頂けた。流石のルナさんも聖女様に言われれば従うしかないもんな。ホント聖女様には感謝だ。


 それでは食事を作る許可を得られたのはいいが何を作ろうかな、いつもならカレーになってしまうけど、みんな白を基調とした服を着ているからルーが飛んで汚れると目立つ。よくないな。う〜ん迷う!


「これはあれだな!お客様の意見を聞こうかな。な〜アイリス、どんなものが食べたい?」


「うにゅ?……野菜が食べたいなの!野菜スープ〜」

 

「へーアイリスは野菜が好きなのか〜えらいな!」

 今時のお子さんにしては珍しい。


「えへへ!アイリスえらい?」

「おう!えらいえらい」

 アイリスの頭を撫でたらとても喜んだ。


 それじゃ〜料理の準備をするか、材料は鶏肉、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、サラダ油、ルー、水、牛乳ともちろんこれは全てタブレットから発注しました。あと鍋とか道具あるかな?


「アーチさん、鍋とか包丁あります?」

 料理を作るにあたりアーチさんと団員の二人が手伝ってくれる。


「ねぇ〜あのさ〜、その前にどこからこれだけの材料を出したわけ?」


「ま!細かいこと気にしないで料理作りましょう。アーチさん達は野菜を切って下さい。切り方は指示しますんで」


「タクトくん全然細かくないから、ルナじゃなくても気にすると思うよ!」


「まぁ〜まぁ〜」俺はアーチさんをなだめて料理を始めた。


 コトコトじっくり煮込んだ方が美味しいよね。


……それから約40分



「皆さんお待たせしました。食べて下さい」

 

「わーいなの!野菜いっぱい〜」※アイリス

「温かくっていい匂いだわ」※聖女様

「うわー美味しそう」※アーチ

「白いスープ……あんまり見たことない」※レアリー


「………皆さん…まずは私が食べます。あなたも文句はありませんね」※ルナ

 ルナさんが真剣な目を向けて俺を見る。

 なるほど、自ら毒見を買って出たのか、でもそう言うのは団長がするもんじゃないだろう。ま〜毒盛ってないから良いけどさ。


「はい、どうぞ!冷めないうちに……」※タクト


「団長の横暴だ〜!」※アーチ

「ルナお姉ちゃん食べたいなの!」※アイリス


「ダ〜メ!抗議は受け付けません!」※ルナ


 言い合いしてないで早く食べてほしい!

 ルナさんはみんたと言うか二人の抗議を押し切り最初に食べることとなった。


「私はまだあなたを信用していません。それを見極めさせて貰います!」


 そうだ!ここからが勝負、ボクの好感度アップじゃ〜!


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