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第96話 ムカムカしますね〜!


「あなた達は本当に何をしてるのよ」

 ややお怒りのルナさんが目の前に立っている。


「「すいません」」

 俺とアーチさんは現在正座をして反省中、別にふざけていたわけじゃないのに〜


「団長、そのくらいで許してあげてよ。私達の命の恩人なんですから」


 優しいな〜レアリーさんは、それにしても良かった!レアリーさんもアーチさんも怪我が大したことなくって、パッと見血がかなり出てたからヤバいかと思ったよ!


(ヤバかったわよ!それなりに)

(あれ?俺声出してないけど、なんでカンナに聞こえているんだ?)

(今更かいな、タクトとウチは繋がっとるんや!声なんて出さんでも意思疎通が出来るんや)

(へーそれは便利、で!レアリーさん達が危なかったってどう言うことだ?)

(二人の怪我は内臓を貫通しとった。ちょっとやそっとの処置じゃ〜間に合わなんだ。今回は運がええ、傷口が小さかったから絆創膏ばんそうこうの効果が十全発揮でけたんや)

(そっか、絆創膏ばんそうこうは時空間に干渉して時を戻す力、傷の深さとか酷さに関係なく元に戻す。だから仮に急所に当たっても死んでさえいなければ治せるわけだ。本当に便利な絆創膏ばんそうこうだね!


◆少し時を遡りルナの視点


 こいつ一瞬も油断出来ない。

 目を離せば殺される。


 事前に話は聞いていたが、運悪くこの森の主に遭遇してしまった。こいつの攻撃は速く何よりもその破壊力(貫通力)が危険視されていた。

 アーチとレアリーがやられた。今の攻撃を見て確信した。情報は事実だったと。レアリーが持っている盾は特別製で魔法と物理攻撃両面に優れた防御性能を誇っている。あれを難なく貫通するあたり、私の剣で弾くのも難しいでしょうね。全神経を高めてあれを躱す。


 そんな中あの男が動いていた。

 気づかれない様に動いているつもりみたいだけどバレバレなのよ!

 こっちは神経すり減らしているって言うのに〜!


 私が行動に移ろうとした時だった。……遅かった。オーガから光が放たれる。……間に合わない!


 私はあの男を助けることが出来なかったことにショックを受けていたのだが………へぇ?なんで普通に歩いているの。


 あの男は何事もなかったようにアーチの治療を行っている。オーガも先程の攻撃が効いていないことに疑問を持っているようで暫く固まっていたが、外したとでも思ったのか今度は連射する。……はぁ〜?あの男はぶつぶつとアーチと話をしている。無事である。オーガは自分の攻撃が効いていないことに激昂、私のことなどガン無視で走ってあの男の元へ、しかしなぜか分からないが何かにぶつかったように止まりピカピカと攻撃を始めた。……結局あの男には攻撃が当たらなかった。


 オーガはあの男に挑発されて完全に私のことを忘れている。隙だらけで逆に罠かと疑いたくなるほどだが真後ろに来ても気づかれない。慎重に近づいた私が馬鹿みたいよ!

 私は一撃でオーガの首を飛ばして終わった。なんともあっけない幕引きとなってしまった。


 一旦落ち着こう。二人共恐らく深い傷を負っている。アーチとレアリーを救うのが先決だわ。

 

 まずはアーチの容態を確認して応急処置をしない…と!


「すごいよ!流石は私達の団長だね〜、一撃で倒しちゃうんだから〜」

 

 あれ?……「アーチ…あなた怪我は?」


「ん?……あれ?痛くない」

 アーチは怪我を負った部分を擦って、改めて痛みがないことを確認した。


「もしかして……治った?」

 何か紙のようなものを剥がしてアーチは驚く。


「ウソ〜治ってる!団長見て見て治ってるよ」

「え?アーチ……ここを怪我していたの?」

 アーチが見せてくれた部分には何の痕も残っていない。本当にここを怪我したの?


 アーチは問題なさそう。それならレアリーを、そう思った時にはあの男がアーチの身体に貼られていた紙と同じ物を貼っていた。


 それから数分後、レアリーも何事もなく動いている。重傷だったはずなのに、分からないことをだらけだ。


◆そして今に至る。


 でもどう考えてもこの男がやったのよね。

 

「皆さん、お怪我はないですか?」

 聖女様とアイリスが護衛と共にこちらに来られた。


「あ!申し訳ありません。連絡が遅れました」

 あ〜しまった〜。あの男のことを考えてたら連絡するの忘れた〜。


「いえ、いいのですよ。皆さんはお疲れでしょうし、それよりもお怪我は?」


「聖女様、ご心配には及びません。誰一人怪我を負ってはおりませんので」


「そう、それなら良かったわ。怪我をしたら遠慮なく言ってね」

 

 聖女様にこれ以上ご負担をかけてはいけない。幸い本当に怪我人は……出なかった。でもそれはあの男の助けがあったからで、本当だったら聖女様のお力をお借りして二人を治して貰うことになっていた。くっ……私がもっとしっかりとしていれば、………ルナ!お前は団長なんだみんなを守るんだ!


「そんなに思い詰めた顔をして、団長さんは大変ね。責任の重圧は重たいかしら?」


 はぁ!またやってしまった。私は昔から自分の世界に入りやすいから注意してたのに、あ〜だからみんなから思い込みが強いって言われるのよ!


「申し訳ありません。ぼ〜っとしてしまいました」


「うん、うん、いいのですよ!若い時にはたくさん悩むのも悪くないわ。でも悩み過ぎてはダメよ!ちゃんと周りも頼りなさい。あなたなら分かるでしょ、みんなあなたを助けたいと思っているわ」


「聖女様……ありがとうございます」

 聖女様は偉大ですね。

 対話しただけで清々しくなりました。



「ねぇ!タクト、大活躍したなの?」


「いや、大したことはしてないよ!アイリスのご期待には応えられなかったよ」


「えーー面白くないなの!プンプン」


「おいおい、プンプンはないだろアイリス、まったくもう〜」


「プンプン、プンプンなの〜」


 アイリスが楽しそうにあの男と……なんでしょうか、さっきまでの清々しい気持ちはどこへ行ったのでしょう。


 ムカムカしますね〜!

 

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