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第91話 森での出会い


「うっ!う〜ん……身体が痛いや」


 朝日で目を覚まし背伸びをする。

 昨日は木を背に寝たから背中が痛くてしょうがない。早く帰ってふかふかのベットで寝たいや。

 俺はまずは起きて朝食をタブレットで用意する。惣菜パンと牛乳パックを片手にモグモグ、なんとも落ちつかない食事をして、すぐに歩き出す。

 相変わらず魔物と遭遇しまくるけどバーナーで一掃してどんどんと進む。


 暫く歩いていると声が聞こえてきた。これは魔物じゃなくて人間だよな。俺は気になって声がする場所に向う。


 戦闘音が聴こえる。

 これは大勢の人間が魔物と戦っているな。


 俺は木々の隙間を通り抜け戦場に降り立つ。

 その場所は乱戦状態になっていた。白銀の鎧を着けた騎士が魔物に次々と倒され劣勢に見える。気になるのは、その中央に守られる様にある立派馬車と騎士以外にいる黒尽くめの3人の男達、どっちの助太刀をするか……考えるまでもないか、どう見ても黒尽くめが怪しいし、俺は助太刀するために馬車の方に走ると、すぐに違和感を感じる。身体が重い……これは明らかにおかしい。もしかしてこれのせいで騎士達は上手く戦えないのか!?


 それなら、やっぱあの黒尽くめが怪しいよな!よく見ると3人のうち2人は呪文の様なものを唱えているように見える。あいつらを倒すのが優先だな!


 しかしその時、馬車から聖なる光が放たれた。

 

 その光の効果か急に身体が軽くなる。きっと敵の魔法を…デバフ効果を打ち破ったんだ!


 良し!……あ!?あの野郎ども!

 

 魔法を解かれたことで黒尽くめの奴らは直接馬車の中に居る人を殺しにいった。護衛の者は周りの魔物で手一杯なうえ、かなり速さで移動するから止められない。このままだと馬車の中に居る人が危ない!


 俺はヘルメットと手袋を着用し一気に魔物の間を縫うように突破しプラスドライバーを黒尽くめの一人に突き刺しビスで空間固定、残り二人は剣を振り上げて斬りかかって来たので手袋の力で空間障壁を張りガード、まさか防がれると思っていなかったのか、やや動揺し動きが鈍ったところにビスを飛ばしもう一人も空間固定した。あと一人!


「おのれーー」

 残りの一人は接近せず魔力を高めている。何か魔法が来る!俺は防御体勢を取ろうとしたその時、騎士の一人が黒尽くめの隙をつき、剣で一太刀し斬り伏せた。


 ん?……あれこの人は見たことが………あ!?


「タリアさん!なんでここに……」

 その騎士はマルクトで会ったアイリスの護衛騎士タリアさんだった。何でここに居るんだ?


「タクトなのーー!」

 

「え!」横からドスッと衝突するようにくっついて来たのはアイリス……同じくなんでこんなところに?


「アイリスだよな、どうしてここに……」

「わ~いなの!タクトは私の勇者なの〜」

 アイリスは嬉しそうに俺に抱きつき放してくれそうにないので、ヨシヨシと頭を撫でておいた。


「あらあら、アイリスちゃんの勇者に助けられたわね」

 

 馬車から真っ白なシスター服を着た品の良さそうな高齢の女性が出て来た。俺とアイリスの姿を見て微笑ましいと思い笑っている。


「あなたは?」

「あ!?お姉ちゃん!」

 俺は話しかけようとした時、アイリスが大声でお姉ちゃんと言った。……つまりルナさんも居るんだ。


 ルナさんは二人の騎士を担いでこちらに歩いて来た。その姿は大きな怪我こそしていなかったが大分憔悴していた。


「聖女様…大変申し訳ありません。遅れて参りました。お怪我はありませんでしょうか?」

 ルナさんは片膝をつき頭を下げる。


「え〜大丈夫です!それより、そちらの二人は」


「分かりません、今は気を失っているだけです。拘束はしてありますが、恐らく何者かに操られております。………どうか寛大な処分を求めます……」


「ルナ…そんな怖い顔をしないで、大丈夫よ。私はその子達に危害を加えるようなことはしませんよ。だから落ち着きなさい」


「ありがとうございます!聖女様」

 深々と頭を下げるルナさん、これはどう言った状況だ?それに聖女様って……この人がそうなのか?

 俺の頭の中は混乱状態に陥っていた。


 聖女と言われていたお年寄りの女性は周りを見渡すと、手を組み祈りを捧げる。


「女神の名のもとに癒しの光を我に与え給えよ」


『キュアライト』

 優しい光が周りを照らす。


 近くで倒れていた数人の騎士がムクッと動き立ち上がる。しかし倒れている者の中でも、そのまま動かない者も居た。この者達は致命傷を負いすでに亡くなっている。いくら聖女様と言えど、その者達までは生き返らせることは出来ないのだろう。


「生きている者はこれだけですか」

 悲しそうな顔をしているが、この状況を冷静に受け止めている。この人とても強い人だと俺は思った。


「おい!お前……何故ここに居る!」

 

「え!?」

 いつの間にかルナさんに剣を向けられていた。確かに俺がこんなところに居るのはおかしいし、それにタイミングが良くなかった。ルナさんには俺が怪しく見えたのだろう。


「アイリスに手は出させないぞ!」


 ………はぁ?


「アホか!シスコンこじらせ過ぎじゃ〜どんなに勘違いだよ!想定外過ぎる内容で逆にビックリしたわ!」

 

「そんなことを言って、アイリスを追いかけて来たのだろう。言っておくがアイリスが欲しければ、まずは私を倒してからにしてもらおう」


「………もう良いです。好きに勘違いして下さい」

 この人はダメだ!だぶん俺とは話が出来ない。


「ルナちゃん、妬きもちするのは良いけど、迷惑はかけてダメよ!」

 

「違います!これは事実を言っただけです!姉として当然の義務を果たしているだけです」


「ふふふっ、本当にルナちゃんはアイリスちゃんのこと、大好きなのね」


「当然です!アイリスは天使!そして私にとって神にも等しい存在なんです!ですから大大大好きなんです!お分かり頂けますか?」


「えー勿論よ!」

「ご理解頂き感謝します。聖女様」


 何が何だか分からないが、ルナさんを聖女様が上手く諌めてくれた。正直面倒くさかったので助かった。

 

 この時偶然にも聖女様達と関わったことで、この後俺の旅は想定外の出来事に巻き込まれていった。

 

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