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第74話 カレーも良いけどや◯そ◯も良いよね!


 フォルドの森のランクはそれ程高くはないが森の奥にはもう少し強いランクの魔物が生息している。 


 魔物にはランクか存在しておりE〜SSランクの順に強くなる。ゴブリンやコボルトはEランクに当たりオークやオーガはCランクに当たる。この森では、精々そのくらいの魔物が居るくらいだろう。


「それじゃ〜あなた達、フォーメーションを伝えるわ〜、まずはノルンちゃんが先頭よん!その後ろにタンクちゃん、そして最後にタクトちゃんにします。それぞれの役目は自分で考えるのよ〜ん」


 ジェーさんは、それ以上の事を言わずに、そのまま進むように言った。つまり考えることも修行ってことか、特に誰も文句を言わずに進んだ。


 少し進んだところでオークが現れた。ノルンは先行して鋭い剣捌きでオークの首を斬り裂き倒した。


 一応分かっていた事だが、ノルンの腕はかなり上がっている。オーク如きでは大した脅威にはならない。


 次にオーガが現れた。オークと違いそれなりに速さのあるオーガは危険な相手、華麗な足さばきでノルンはオーガを一撃、しかしオーガは止まらない。


「地の精霊 大いなる壁」

 ノルンとオーガの間に土壁を作り、オーガの攻撃を防ぐ。そこにタンクが大剣で一刀両断、オーガの腕を斬り落とした。


 ノルンは体勢を崩したオーガの隙をつき、首を斬り裂きオーガを倒す。


「今の良い感じだったわ!パーティーを組んで戦ってるって感じ!」


「おー俺……オーガなんか初めて倒したよ〜」


 ノルンはぴょんぴょんと跳ねて嬉しそうにははしゃいでいる。片やタンクさんはヘナヘナヘナっと腰を落とし、……もしかして腰が抜けてる。


「ま〜良いほうかしら、ちゃんと動けてるわ。タンクちゃんもやるじゃない!オーガ相手だったから動けなくなると思ってたのに、しっかりと動けていたわよ!」


「ありがとうございま〜す師匠」

 タンクさんは応えるくらいには回復したみたい。


「ねーねー私はどうだった!」

 ノルンもジェーさんに感想が聞きたいようだ。


「う〜ん……あなたは天性の才能って言うのかしら、まったく物怖じしなかったわね」


「エヘヘ」嬉しそうにするノルン。


「だけどあなたみたいな人は死に急ぐことが多いから、もう少し注意してほしいわ〜ん。ま〜そう言う人には言ってもなかなか聞いてもらえないんだけどね」


 ムッとした顔に変わるノルン。

 俺が似たようなことを何度か言っているから余計にムカついている可能性があるな。あとで機嫌を取らないと。




「あなたがしっかりと見てあげないとダメよ!あの子には剣の才能があるの、だから余計無茶しちゃうからね」ジェーさんはコソコソと言う。


「分かってますよ。ジェーさん」

 俺は当たり前のように答えた。


 それから魔物と何度か遭遇、俺とノルンそしてタンクの連携は思いの外上手くハマった。


 複数の魔物相手でもお互いのカバーができ、やや物足りなく感じ始めた頃、ここに来てから一度も喋らなかった二人がとうとう喋った。


「腹が減ったのだ!」

「も〜う限界なのじゃ〜」


 俺の頭と肩でウナ垂れる。先生とニキ、喋らないからなんでだろうと思っていたけど、あとで聞いら先生は単なる寝不足でニキは俺の前以外では喋るなを実践していたらしい。しかしお腹が空けば関係はない。


「そうですね。結構良い時間ですし、そろそろご飯にしましょうか」

 俺はみんなに声をかける。


 さて今日はどうするか、先生とニキは相変わらずカレーが食いたいと言うだろうが、俺は流石に飽きた。別のものが食べたい。


「う〜そうだな〜………やきそばにするか!あれなら美味しいし腹もふくれる。それと……一つ変わり種のデザートといきますか」


 俺はせかせかと準備を始めた。


「ね〜タクト〜これな〜に?」

 ノルンは不思議そうにやきそばを見る。

 

 失敗したなこれは、この世界では麺類の食べ物を食べる習慣がない。はっきり言って未知との遭遇状態になっている。タンクさんなんて「ウゲッ」っと声まで出して気持ち悪がっている。もしかしたらミミズみたいな虫とでも思っているのかもしれない。


 正直これは参った。どうしょう………


「あ〜らこれ美味しいじゃないの〜!こんなのはじめてよ〜ん」


 ズルズルと見事なすすり音を出し食べるジェーさん。


「ジェーさん、本当に美味しい?」

「どうしてのよ?タクトちゃん、すごーく美味しいわよ!特にこのタレが最高ね。初めての味だけど病みつきになりそうよん!」


「そっか!良かった〜」

 俺はむねをなでおろす。

 そうだよ!食べたことがないだけで美味しいことに変わりはない。食べたらきっと大丈夫。


「あのさ〜ノルン気持ちは分かるんだけど……」

「分かってるわよ!食べないなんて言ってないんだから」

 

 ノルンもフォークを使い器用にやきそばを取り、少しだけ躊躇してから口に入れた。


「ん!……おいしい…美味しいよタクト!」

 

 ふ〜良かった。食べたらやっぱり美味しいよね。それからノルンは何事もなかったように食べ、その姿を見ていたタンクさんも食べると、驚きの表情を見せバクバクと食べていた。


「あ〜美味しかった〜……あれ?なんか甘い匂いがするんだけど?」


 ノルンは気がついた様だな。

 他のみんなも鼻をクンクンさせて匂いを嗅ぎ俺の方を見る。

 さーて……どんな反応をするか楽しみだ。


「ほい!ノルン、きっと気にいると思うよ!これ甘くて美味しいけど、火傷しないように気をつけて食べてね」


「うわぁーーすっごくいい匂い〜」

 ノルンの顔がほころぶ。


「みんなも食べてよ!一応初めて作ったんで、お口に合うか分からないけどさ」

 

 俺がみんなに出したのはマシュマロトースト。トーストにマーガリンを塗りマシュマロを乗せて焼いた後にハチミツをかけて作った。甘々のデザートなのである。


「うふふふふ……あまあま〜」

 満面の笑顔のノルン、可愛い少女の様な笑顔がさっきまで魔物と戦っていた顔とのギャップがありドキッとしてしまった。


「タクトちゃん超美味しいわ!こんなの屋敷の料理人だって作ったことないわよ!も〜う私を虜にしてどうするつもり〜」


 くねくねしながらこっちに来ないで下さい。

 気持ち悪いんで……


「タクト……お前は……料理人になれ、冒険者は諦めろ。お前には料理の才能がある。大丈夫だ!ノルンは俺に任せろ」

 

 タンクさん、上手いこと言ってに俺とノルンを離そうとしてます?それとももっと食べたいだけですか?


「タクトよ!やるではないか!我をここまで唸らせるとは、流石は我の弟子なの…じゃ…ガクッ」


「いや!?え!!先生〜ローム先生ーー」

 先生は俺の手の中で倒れて動かなくなった。

 いやいや、毒を盛った訳じゃないからね!そんなに美味しいのかこれは?


「おっかしいな〜……料理本に載ってた簡単キャンプ飯を作っただけだぞ」


 そう言えば、ニキは大丈夫かな?

 

「ニキ、お味はどうですか?」※小さな声で


「タクト……俺これからもお前についていくよ!」

 いや、そんなことは聞いていないよニキ。


「おう!……それは良いけど味は?」


「フッ……美味い以外に一体なにを言えばいいって言うんだいタクトよ………おかわりくれ〜」


 取り敢えず美味しかったのね。

 

 それからおかわりを何度か要求されたが、デザートはそんなに食べるものじゃありませんと言って断った。みんなからは批判ゴーゴーだったけどね。


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