第71話 女神は友達?
改めて考えてみた。
イリスは神であり怒っているのであれば、すでに手遅れで諦めるしかない。それならばもう受け入れよう。
半ば投げやりになった俺は普段通り話をするように聞いてみた。
「イリスって……女神様なのか?」
イリスの表現が明らかに変わった。
「あなた、今更そんなこと聞くわけ?もっと早く気づけたでしょう。普通は私のオーラを見て感じればすぐにわかるのよ。なんで気づかないのよ!」
イリスに眉間に手を当て呆れられた。
確かに思い介せば不思議なことはいっぱいあった。
「いや〜ここに来る時ってさ〜いつも突然だったし、結構バタバタしてたからさ〜あんまり気にならなかったと言うか、気が付かなったと言うか……アハハ」
「何がアハハよ!呆れて物も言えないわね。もしかしたらそれがあなたの特別なところかもしれないけど……」
俺は鈍感過ぎて女神様に皮肉を言われた。
「その……申し訳ありでした。今思えば失礼なことばかりしてしまい。どう謝罪すれば良いか……」
俺はどうすればいいかあたふたしながら頭を下げる。
「良いわよ!そんなこと、気にしてないわ……なにその顔……」
俺は女神様がそんなあっさりと許してくれると思わず、ポケッとした顔で呆けてしまった。
「え!?良いのですか?」
「別に構わないわ。それに敬語は不要よ。あなたは確かに私の使徒だけど、そもそもあなた私に対する信仰心ないでしょ!」
ギクギク!?……う、う〜ん……俺って転生してから教会に行ったのは何回くらいあったっけ……
「え……ちょっと待って!多分祈ったことあるから思い出すね」
「良いわよ!無理して思い出さなくても、私が覚えているから、ここ最近で言えばマルクトと戻ってからの2回だけよ!」
さ〜せんでした!
………思い出すまでもなかった。
「でも……敬語で話さなくて良いって言うのは……」
「良いって言ってるでしょ何回も言わせないで!それにあなたは私の友達なんでしょ。それなら敬語なんておかしいじゃない」
イリスは少しからかう様な口調で言った。
「なるほど、それもそうだな。ありがとうな!イリス」
「ん〜やっぱり何か新鮮ね!悪くないわ」
イリスは少しだけ笑顔を見れる。
「それでイリス、この後はどうすれば良いんだ?ジャクソン村みたいにまた神託でもあるのか?」
「いいえ、今はまだ良いわ。だた気になることはあるわね」
「気になること?」
「ジャクソン村の件は何者かが関与した可能性があるわね。しばらくはあなたも警戒してなさい。もしもがあるかもしれない」
「それってつまりこの町も危険かもってこと?」
「そう言うことよ。何か分かったら知らせるから、今はあまり気にしないことね」
「うん、分かった。ありがとうイリス」
俺はこの後、初めてこの空間を普通に出ることが出来た。
…………▽
翌朝になり、朝から騒がしいことになっていた。
「どうしての?こんなに朝早くから」
睡気まなこを擦りながら玄関を出るとノルンが居た。
今日もテンションが高く、こっちは寝起きでそのテンションについていけない。
「ジャクソン村の件よ!私に教えなさい!」
あ〜そう言うことね。
なんでこんな朝から来たのか分かった。
「分かったから、まだご飯を食べてないんだ。もしかしてだけどノルンもまだ?」
「うん、頂けるかしら」
ニッコリと笑顔で遠慮なく答える。
普通ならちょっと図々しいヤツだなと思われるかも知らないが、ノルンは子供の頃から遊びに来てご飯をよく食べに来ていた。だから父さんも母さんも特に気にしない。
その後、他愛もない話をしながら食事をして、部屋に戻ると、例の話について色々とノルンに質問された。
「えー二人共ズルいズルい!そんなに楽しそうなことをして、なんで私を呼んでくれなかったのよ!」
「ノルン……どの辺が楽しそうに聞こえたのかな〜、こっちは死ぬ思いで戦って来たんだけど」
「良いじゃん死ななかったんだし!あ〜あ〜そんなに強そうな魔物を相手にしたのか、良いな〜」
ノルンは俺の気持ちを全然理解してくれなかった。
俺はガックリと肩を落とす。
「タクト、レベルを上げに行くわよ!」
ノルンはまた唐突なことを言い出す。
「えーまた〜……勝手に行ってら怒られるよ」
「そ、それは覚悟のうえよ!い〜い、タクトだけズルいわ。私も魔物と戦ってレベルアップするのよ〜」
ま〜何を言っても止まらないし、今の俺なら問題ないだろう。
「それじゃ〜フォルドの森でレベルアップと行きますか!」
「なによ!今日は聞き分けが良いじゃない!そうこなくっちゃ。じゃ〜まずは準備ね!魔導ショップに行くわよ〜タクト」
俺は手を引かれそのまま家を出た。
…………▽
「おはよう!おじさんいくつかポーションを頂きたいんたけど!」
ドタドタと騒がしく店に入り、ノルンは大声で注文をする。
「はぁ〜あ……なんだよ昨日はプレーが長くってあんまり寝れてないんだ!あんま騒ぐな!」
おじさんはガシガシと頭をかきながら半裸で出て来た。完全に寝起きだ。
ノルンは両手を腰に当てて、
「も〜うなんて格好してるのよ!そんなんで客商売なんか出来るの〜」
「嬢ちゃん、この店は客が店を選ぶんじゃなくて、俺が客を選ぶのさ、ぎゃ〜ぎゃ〜騒ぐなら出て行ってくれ!」
「なんですって!」
ノルンもおじさんも口が悪いうえに態度がデカいから言い合いになりやすいんだよな〜
「ノルン、おっさんとはボクが話すから、少し外で待ってて!」
ノルンは「え〜」っと言いながらも外に出て行ってくれた。
「よ〜坊主、お前も大変だな、あんなじゃじゃ馬娘を相手しないといけないのか」
「ま~確かに大変だけど、仕方ないさ」
「領主の娘だからか?」
「いや、そんなの関係ないよ」
「へぇーもしかして惚れた弱みってやつか?え〜この野郎〜教えろよ」
「おっさんくっつかないでよ!汗臭いんだから」
おっさんが俺に肩を組みからかって来やがる。
軽く殴って黙らせた。
「ま〜実際どうか分からないけど、ノルンはボクにとって大切な人だから、それなりの対応をしないとね」
「アタタタタ……なるほどそうかい。ポーションは何本いる?二人なら一人三本で六本あれば十分だと思うが」
おっさんはゴソゴソと棚からポーションの瓶を取り出しカウンターに並べる。
「うん、ありがとうおっさん、あとこれの換金もお願いできるかな〜」
俺はこの間仕留めたウルフガーゴイルの魔石を売るためにおっさんに見せる。
「お〜なんだまた面白い物か?……………おぇ!?また坊主はなんてもんを持って来るんだよ」
おっさんはワナワナと手を震わせ、その魔石を確認する。
「どう?この魔石売れるかな?」
「あ〜もちろん……と言いたいが、この店ではそれを買い取るだけの資金がね〜……くっそ〜メッチャ欲しいけどな〜でも無理だ〜そんな魔力を内包した魔石」
もの凄く悔しがるおっさん。
「………そんなにか、ちなみにいくらくらいで売れるの?」
「う〜んそうだな。一千二百万ウェンってところだ」
「うわ!?すごいや!」
あの魔石がそんなに高く売れるとは思いもせず、これでまた食費が浮く。
おっさんは突然カウンターに頭をつき「坊主!すまね〜、お願いだ!その魔石を俺に譲ってはけれないか、それがどうしても欲しんだ!」
俺はあまりの突然な行動にびっくりする。
「おっさん、まずは頭を上げてください。そうじゃないと話が出来ないよ!」
「あぁ……そうだな。頼む!俺に譲ってくれ、金は必ず払うから、な!」
う〜んどうしようかな、そもそもおじさんはまだ俺に借金がある身な訳で、さらにつけって言うのは流石に容認するのは難しい。それにしても、なんでこんなに必死なんだろう。ドラゴンの牙の件もそうだけど、かなりの借金をしているけど。
「あの〜その前になんでそこまでするんですか?」
おっさんの顔が一気に暗くなる。
「ま〜そうだよな。こんなことを頼むのに、何も説明しないって言うのは…ないわな。分かった!ちいっと恥ずかしいが俺の話を聞いてくれるか?」
「うん、お願いおっさん」
俺は流れでおじさんのこっ恥ずかしい話とやらを聞くことになった。
ご愛読して頂いた方、本当にありがとうございます。
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