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第7話 平穏な朝に感動する。


 俺はあれからムスコの回復を待ち、しっかりと身体を洗ってからお風呂を上がると新しい服が置かれていたので、それを拝借して外に出た。


 スカーレット様にお礼の挨拶をするとノルンにも

お礼を言いたくてどこにいるか聞いたが、「また今度にしなさい」と言われ俺はお屋敷を出ることにした。


 確かに今ノルンに会ったところで、どれだけ謝ってもさっきのことは許してくれないだろう。ほとぼりが覚めるまでしばらく会うのは控えるしかないか。


 トボトボと家路につく。


「ただいま!」


 家に入ると中からドタドタと走る音が聞こえる。


「タクト〜大丈夫!あなたは!もうもうもう、どれだけ心配かけるのよ!」


 アチャ〜結局バレちゃったか〜出来るだけ誤魔化したかったけど、やっぱり無理だったか、ま〜当然かオーガの件はきっと町中で共有されたんだろうし。


 俺はその後、母さんの説教をこってりと受け、心配な母さんを安心させるため、一緒に寝ることになった。


 仕方がないけどあんまりくっつかれると色々と気持ちいい感触と良い匂いで寝れません〜


 次の日、目が覚めると母さんはすでに居なかった。今頃は朝食の準備をしているころか、俺はベットから降りると床にツールボックスが置いてあった。


「あれ?呼び出してないよな〜寝ぼけて呼んだか?」


「カタカタ、カタカタ」

 また揺れてる………ん?……なんなだんだん声が聞こえて……


「カタエテ、カタセン、ソロカタ、ハヤカタ」


「あれ……耳が悪くなったか?」

 耳を触り確認する。


「イイカゲンニ、ワタシノ、コエガ、キコエンカーイ」


「お!?ツールボックスが喋った〜!」


「ふ〜う、やっとかいな〜ずいぶんと待たせてくれはりますな〜」


 なんかけったいな関西弁で喋りだしたぞ!なんだコレ?


「なんや〜ずいぶんとアホ面して?ボケるんわ口だけで顔でするもんやないで〜」


「やかましいは!誰がアホ面だ!」


「う〜ん四十点やな!普通すぎる」


「別に突っ込んどらんは!」

 

「な〜な〜なんか!ツールボックスにツッコミ入れてる姿ボケとるみたいでおもしろな〜い」


 何なのこいつ、これも俺のスキルなのか?

 

 俺が困惑しているにも関わらず喋り続ける。そして思った。今日は疲れたし面倒だから明日にしよう。ツールボックスには消えてもらい寝ることにした。


 次の日、仕事にはまだ行かなくて良いので超寝坊してやった。いや〜時間を気にせず寝れるって素晴らしい〜、今日は平穏な一日を過ごせそうだ。


 疲れも取れ気分がよくなった俺はまずローム先生を

起こすか。


 俺は植木鉢に向かって、


「先生、先生、起きて下さい。朝ですよ!」

 

 ローム先生の寝方は少々変わっている。植木鉢に刺さった植物の様に地面に埋まって寝ないと寝れないらしい。知らない人から見れば凄まじいバツを受けたか拷問レベルの所業である。


「はぁ〜あ、昨日は土が硬くて眠れんかったわ!」


「あ〜すいません、水の量が少なかったですかね。今日は多めにしておきますね」


「頼む!」

 ローム先生は芸術家だからかとても繊細、土の柔らかさが合わないと寝られない。一応毎回水を入れて調整しているのだが、気候の変化でその調整が結構ズレる。とっても難しい今の俺の仕事の一つだ!


 さ〜て朝御飯だ!今日は何かな〜


「父さん、母さんおはよう!」


「タクトおはよう」

「タクちゃんおはよう、ご飯出来てるから、ちょっと

待ってね」


 母さんはすぐに用意してくれた。


 今日のご飯は山菜ご飯と野菜を沢山入れた具沢山スープ、いつもよりだいぶ豪勢だな〜もしかして!?


「母さん、今日はずいぶん気合入ってるけど、ボクの為に…」


「うふふ、そうよたくちゃんが早く元気になって欲しいから母さん朝から気合いいっぱい入れて作っちゃった!」


 お玉を片手にカワイイポーズを取る母さん。本当に明るく元気な人だ。それを見てるとこっちも自然と元気が出てくる。


 俺は茶碗を手に取り山菜ご飯を一口、


「美味い!」

 

 とても優しい味だけど確かな旨味がある。元の世界と違って大した調味料もないのに、これは母さんが手間暇かけてしっかりと作り込んだからこんなに美味しいんだな。


 次に具だくさんスープを飲む。


「うっ……」


 温かい、あはは当たり前だよな。とても美味しい。

けどそれ以上に………


「どうしたの!?タクちゃんお腹でも痛いの?

ベットに行こうか!」


 母さんに手を引かれるけど言っている意味が分からない。


「母さん……どうした……」

 その時、自分の顔から一滴の涙が流れたのが分かった。


「え!?……なんでボク泣いてるの」

 頬に流れた涙を触り確認する。意味が分からないと思ったけど母さんと心配して来てくれた父さんの顔を見て分かった。今俺は二人の温かさを感じて()()()()()んだ!


「父さん、母さんごめん!もう大丈夫だから、みんなでご飯を食べよ」

 

 俺は二人を引っ張り改めて食事をし直す。


 二人は食事をしながらボクの顔色を伺っている。ボクは出来るだけ笑顔をするよう心がけて食事をした。


 はぁ〜これこそが平穏な朝だよ!感動!(≧Д≦)


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