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第69話 アゴが外れるほどびっくりする親子


◆アポロンの視点


「うっ……俺はどうなったんだ?」

 身体がいように重くて上手く身体が動かせない。それに前後の記憶が飛んで状況が分からない。


 俺は膝をつきぼーっとする頭を押さえる。


 確か俺はガーゴイルと戦ってそれで……あ〜ダメだ戦っていたことしか思い出せん!


「お〜い、アポロン大丈夫かー」

 少し離れた場所から声が聞こえる。

 声がする方を見るとタクト達がこちらに小走りでやって来た。


「あ〜なんとかな、ただ身体が重くて立っているのがやっとだ!」


「そっか、多分石化の影響だね。アポロン無理は良くない。あそこの木で休もう」


 タクトは俺を支えながらすぐ傍の木まで移動する。

 

 俺は木を背にもたれ座る。

 は〜正直助かった。熱があるわけじゃないのに、このダルさ、これが石化したことによる影響なのか。


「タクト……俺は石化していたのか?」


「ん?アポロン覚えてないの、ウルフガーゴイルが一瞬でアポロンを石化したんだよ」


「そうか、すまないな迷惑をかけて、そうかウルフガーゴイルがウルフガーゴイル?……はぁー!?」


 俺はアゴが外れそうなくらいびっくりした。


 ウルフガーゴイルだと!?目撃情報こそ少ないが、現れれば町一つや二つ滅んだことのある魔物だぞ!そんなヤツ国王軍でも呼んでこないとどうにもならない。


「おい!タクト逃げるぞ!良いか〜気配を極限まで消せ〜、足音をたてず、呼吸もせず、心臓も出来れば止めた方が良い」


◆タクトの視点


 あたふたとアポロンらしくない動揺っぷり、言ってることに無理あり過ぎなんですけど……


「アポロン逃げる必要はないから、一旦落ち着こう」

「落ち着いてられるかー俺達にはあの村人と親父の命がかかってるんだ〜」


 アポロンの熱い気持ちを感じる。

 だけど俺の心はそれに反して冷めていく一方、どうやって説得しようか。


「アポロン、取り敢えずあれ見てくれる」

 俺はゴロゴロと転がる砕けた石を指差す。


「あれがどうかしたのか?それよりだな……」

「あれがウルフガーゴイルなんだ、もう死んでるよ」


「……………………」

 アポロンはしばし固まり、そして動き出す。


「待て待て待て、あれがウルフガーゴイル……騙されないぜ!あれはただの石ころだ!」

 

 なんとか動揺を止めるも、事実を受け入れない。


「う〜ん…頭を砕くんじゃなかった〜あとあるのはこれだけだし」


 それを見たアポロンは再び固まる。


 俺がアポロンに見せたのは見た目は紫に光るカボション・カットされた宝石なのだか、これはウルフガーゴイルを倒して手に入れた魔石、かなり強い魔力が内包されて、これなら信じてくれるだろう。


 アポロンはなんとか頭の整理が出来たのか、今度は真剣な顔に変わり質問をする。


「タクトお前これを……いや、どうやって

ウルフガーゴイルを倒したんだ!」


 信じてくれたのは良かったけど、この後どうするかは考えていなかった。俺が倒したなんて話になったら面倒ごとにしかならない。どう逃げるか、さてどうしよう。


 俺は数秒考えて、何も思いつかず諦めた。


「それが、ボクも覚えてないんだよ。多分アポロンと一緒で石化されたんだと思う」


 とぼけて誤魔化そう。


「んん?それって本当か?確かに倒すのは無理だよな。でもよ。じゃ〜誰が倒してくれたんだ?もしかしてロームさんか?」


 アポロンの視線が急に先生に向く。

 先生は少し呆けた顔をしてから含みのある笑いに変わる。


「さ〜の〜そんなことより一度戻らんか、恐らくじゃが、村人達の石化は解けているじゃろう」

 

 アポロンは納得は出来なかったが、先生に言われると流石に言い返しにくくなり、それに何より村人と神父さまが心配になったのだろう。そのまま村に引き返す。


 俺達は村に戻ると一直線に村人達が集まっている集会場に向かう。


「親父!大丈夫か!」

 扉を勢いよく開けると、村人達はまだ動けない者もいたが、石化が治り動けない者の看病をしている。そしてその中に神父さまも居た。

 

「ん?なんだもう戻った…な訳ないか、引き返して来たのか?良くわかったな」


 こちらを向かず。村人に回復魔法をかけ治療を行いながら話をする。


「親父、状況はなんとなく分かる。村人の石化が解けたんだろ」


「そうだアポロン、まさかとは思うがお前、キラーガーゴイルと戦ったんじゃないだろうな!」


 振り返った神父さまは怒りの形相で振り返る。恐らくいいつけを守らなかったと思い怒っている。


「俺もそんな馬鹿じゃねぇ〜よ。監視されてたのかもな、村を出てすぐに奴らに見つかった。戦わなかったら死んでたよ!」


 神父さまの表情は元に戻り、ため息をつく。


「悪運の強い奴だな〜お前は、キラーガーゴイルを相手に生き残れるとは、イリス様のご加護があったのであろう。しっかりと礼を申すのだぞ」


「言われるまでもね〜イリス様のお導きがあったからこそ俺達は助かったんだ。ウルフガーゴイルを相手にしたんだ、奇跡としか言いようがない。イリス様ありがとうございます」


 アポロンは手を組み祈り捧げる。


「そうだアポロン、イリス様は慈悲深い、誠実に接するのだ。あと言い間違いが酷いぞ!キラーガーゴイルだぞ!間違いるな」


「親父、それが違ったんだよ!この村を襲っていたのはキラーガーゴイルじゃなくって、群れを作ったウルフガーゴイルだったよ!」


「……………はぁー!?」


 神父さまはアゴが外れそうなくらいびっくりしていた。


 流石は親子、驚き方がそっくりだった。


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