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第62話 イリス様の使徒タクト


 …………ん?

 …………う〜ん?

 …………はぁ?


「ねぇ〜そろそろ話しかけて良いかしら」

「あ!ちょっと待ってメッチャ混乱中だから」

 俺は手で制して少女の意見を却下する。


…………チン!


「いや〜ごめんね!待たせちゃって!」

「あなたって本当に無礼よね!私にこんなことをした人は初めてよ!」

「アハハ、謝ってるんだから許してよ」

「ま〜良いけど、今日は何をしに来たのかしら」


「…………え!?特には用事があって来た理由じゃないんだけど、なんでここ居るのか分からない」

 俺って確かに教会で祈っていたはずだけど?


「はぁ〜分からずに来たのね!あなたには許可を出してるから教会で祈ればこの空間に繋がるの、だがら来れたのよ。まったくここはそんなに気軽に来て言い場所じゃないのよ!」

 少女は少しムッとした顔になる。


「アハハ、そうだよね!突然来たら困るわな!すまない。さっさと御暇するよ」

 俺は帰ろうと後ろを向きドアに向かって歩き出す。


「ちょっと待ちなさい!」

「ん?何か用かな〜」

 俺は足を止め振り返る。


「え〜ひとつお願いがあるの」

「えっと…なにかな?」


「ある物を届けて欲しいの、簡単なお使いよ」

「届け物?あまり遠くなければ良いよ!」

「本当…ありがとう、この薬をジャンソン村の教会に届けて欲しいの」

 俺は少女から青く光る水が入ったビンを受け取る。


「ジャンソン村か……1日くらい歩けば着く距離だし、ま〜そのくらいならなんとか……それでこの薬は何なんだ?」

 綺麗に光るビンを眺めながら聞く。


「それは石化を解く聖水よ。ジャンソン村でちょっと厄介な魔物が現れたみたいね。住民が石化する被害が出ているわ」


「あ〜石化か、あれ怖いんだよな〜、足から徐々に石になって動けなくなった時は超焦ったわ!」

 俺はゴエティアのアジトでハマったトラップを思い出し恐怖する。


「石化はとても恐ろしい呪いよ。ただジャンソン村で起こっているのは今のところ身体の一部にしか現れていないからすぐどうにかなるほどではないの」


「へーそうなんだ、じゃ〜早く届けてあげないと、身体が一部とはいえ動かなくなると不便だし」

 一度体験した者としてやはり助けてやりたいと思うものよ。


「それじゃ〜任せたわね」

「おうよ!任せとけー」

 俺はビンを片手に扉に向かうが、あることを思い出し止まる。


「あら?どうしたの、まだ聞きたいことでもある」


「ま〜そうだな。ここに来た用事を一つ思い出したわ!」

 

「何を聞きたいの?」

 少女はいつもと変わらず感情の少ない表情で起伏のない声で話を続ける。


「君の名前……聞いてなかったよ。教えてくれるかな」


「……………」

 少女は口を半開きにしていつもに比べて分かりやすく驚いていた。


「あれ?……聞いたらダメか!良いじゃ教えてくれてもさ」


「一つ教えてくれるかしら、なんで私の名前が知りたいの?」

 少女の顔にまた変化があった、何かを期待して少し楽しそうだ。


「う〜ん、一言で言うと友達になりたいかな、まだ3回しか会っていないけど、君に興味を持った。もっと君のことを知りたいと思ったんだ!」

 勢いで言ってしまったが、結構恥ずかしいことを俺は言ってないか……


「くふっ…くふっ……ダメ…ガマン…でき……ないわ……

アッハッハッハ………………」

 少女は腹を抱えて笑った。今まで見せないような表情で笑い続けた。


「そこまで笑うことはないだろう!ボクとしては結構勇気を出して言ったのに!」

 俺は笑われてより恥ずかしくなり、少し怒ったトーンで言い放つ!


「アハ、アハ、ごめんなさい。別にバカにしたわけじゃないの、あまりにも面白くて我慢が出来なかったの」

 少女はまだ腹を抱えて笑っている。


「なんだよ!やっぱりバカにしてるじゃないか!」

 俺はふーんっと拗ねて横を向く。



「イリス……私の名前はイリスよ!宜しくタクト」

 少女はやっと名前を教えてくれた。


「イリスか良い名前だ!ず〜っと気になっていたからさ、やっと聞けてスッキリしたわ。それにしてもイリスか〜結構気合入れてつけた名前だよな、女神様と一緒の名前……きっとイリスは大物になるな!うんうん」

 

 これでここに来たかいがあったと言うものだ。

 またしても偶然来ただけだけど…」


「本当にあなたって無礼よね!ま〜意外とイヤじゃないから良いわ!許してあげる」


「はぁはぁ〜お許し頂きありがとうございます。イリスさま〜」

 俺はふざけて神に許しをこうように頭を下げた。


 イリスは俺の前に立ち頬を撫でる。


「私…あなたに期待しているの、だから成果を見せなさい!そうすればあなたにとって必ず幸福が訪れます。この私…女神イリスの名において約束しましょう」

 

 イリスはまるで本物の神のように神々しく、そして何者も寄せ付けないオーラを感じた。


「はい!イリス様、女神イリス様の使徒…タクトがあなたのご期待に応えましょう」


 ここはふざけずガチで演技をする。

 俺は空気を読める男だぜ!


「それならば行きなさい!」


 俺は颯爽と部屋を出て教会に戻ると、アポロンが腕を組んでお怒りになられている。どうやら俺が突然消えてお祈りをサボったと思ったぽい。どう言い訳しようか考えたのだが、スーパー信者のアポロンには火に油を注ぐことになるので、諦めて説教を受けることになった。


………イリス〜助けてー(≧Д≦)


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