第60話 アンディー友のために動く
「ビンゴって何だ?良いものでも見つけたのかい!」
アンディーは俺の肩を抱き耳元で声をかける。
「バカヤロー気持ち悪んだよ!抱き着くな!」
気持ち悪いと俺はアンディーを引き剥がす。
「なんだい!連れないな〜私と君の仲ではないか」
また抱き着こうとするので全力で拒否してやった。
「それで何か分かったのかい?」
「取り敢えず、門番の兵士に裏切り者が3人いた!こいつ等がどうしてこんなことをしたのか、確認する必要がある」
「タクトくん、ちょっと待ってくれ!なぜ裏切り者がいると断言出来る。こんな僅かな時間で証拠でも見つけたと言うのか!」
アンディーが驚いているが、俺からすれば彼らが魔標石を当てる振りをして通した姿を見ている。それだけで十分なんだが他の人を説得するのは無理だな。
「あ〜これはアンディーが信じるかどうか次第
だけど?」
「何の問題もない!教えてくれ!」
「………以外とあっさりしているな〜本当に信じてるのか?」
俺は少し驚く。
「さっき言ったばかりだろ。君と私の仲だと」
アンディーは言葉だけじゃなくウインクまでつけて答える。うえ〜気持ち悪い〜
「そ…そっかそれならいいや」
「タクトくん、反応が悪いぞ!もっと喜び給え!」
また抱きつこうとする。来るんじゃない!
俺はこのメガネの力を説明し、そこで見た光景を
教えた。
「なるほど、だかその3人だとして、それでは証拠にはならない!」
「そうなんだよね!そこからどうするか?」
俺はここまでしか考えていない。もっと過去まで見えれば奴らを追って接触した人物を探せるがそれが出来ない。
「いや、タクトくん、それについては私に考えがある。私に任せてくれないか!」
「え!?……それは良いけど一体どんな方法だ?」
アンディーの作戦は行き当たりばったりで確実性にはかけていたけど、犯人を炙り出すことは出来ると思えた。だから……
「分かった。これには時間がかかるから後のことは任せた。アンディー」
……………▽
◆アンディーの視点
あれから10日、タクトくんはマルクトを出てそして例の門番達は解放された。さすがに何の証拠もなく裁くことが出来なかったからだ。ではではここからは上手く立ち回らないといけない。
「ささっと終わらせるか!」
私は彼らの家へと向かう。
ここからは彼らゴエティアのやり方から推測した方法で門番達を騙す。まずは門番達にゴエティアのエンブレム、右手に本、左手に剣を持った少女を書いた手紙をドアの隙間に忍ばせる。
そして手紙にはこう書いた。
「約束の物を用意した北地区3番街にあるヒュードラという店で待っていると」
この3人の門番達は、ゴエティアのメンバーではなく金で雇われたただの使い捨ての兵隊、彼らは分かっていないだろうが、ゴエティアは巧みに話し相手の欲するものを知る。そしてその人物を見極めそして欲望を利用し思いのままに操る。
「だからそんな奴らならこっちも簡単に騙せる!少しは警戒しないのかね!欲望は人の目を曇らせると言うが」
3人の門番達は、素っ裸にされて鞭でビシバシと叩かれている。ここは合法のSMクラブ、叩く者と叩かれる者がそれぞれ楽しむ場所。
アンディーは門番達に渡した手紙を見せる。
「お前達はデカデカとゴエティアのエンブレムが書かれた手紙でここへ来た。つまり何も知りませんでしたはあり得ない。出来れば早めに自白した方が良いぞ!鞭で叩かれるのは楽しくない奴からすれば辛いだけだからな」
門番達はそんなことはしていないと言ったのでそのまま彼女達に鞭のフルコースをお願いした。
「さてあちらの方は上手く釣れていると良いのだが」
ゴエティアが彼らの約束を守ることはない。そして用が済めば生かしておく理由はなく、むしろリスクでしかないのだ。だから門番達は出来るだけ早く殺される。だから周辺を張っていれば見つけることが出来る。
私はローランに頼み、門番達の周辺を見張らしていた。そして六人の賊を捕らえることに成功し、門番達を含めた尋問を行い。一人の貴族が浮かび上がった。名はモロク・レグルス子爵、当日の会場にもいた男で、そしてここ最近黒い噂が囁かれているシャックス閣下の下についていた。
ローランが言っていたがどうにもきな臭い男らしい。今回の首謀者はもしかしたらそのシャックスと言う男の可能性がある。しかし奴は侯爵と地位が高く、とてもではないが手が出せるような相手ではない。
恐らくこの事件をこれ以上追うことは出来ないだろう。しかしこれでローランは奴へのの危険度が増した。警戒を強めると言っていた。孫娘を狙われたのだかなり怖い顔で言っていたからちょっとやそっとでは油断はしない。私としてはこれでしばらくは友の安心が出来る。
また気分転換に冒険に出るか、この辺で行ってないダンジョンはあっただろうか………まずは探して……お!そうだ!タクトくんを誘ってみよう!イヤでもこないだの事を言って恩着せがましく言えば、イヤとは言うまい!クックック………楽しくなって来た!
私は新たな友を手に入れた。