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第54話 笑顔の少年


「え〜っとこんな時間に子供が出歩くもんじゃないよ。早くお帰り」


「うん、ありがとうお兄さん、用事が済んだらすぐに帰るね」


 森から突然現れた少年、俺よりも少し下、多分十歳くらいだと思うけど、やけに落ち着いていてニコニコと楽しそうにしている。普通の町中で会ったらなんとも思わなかっただろうけど、ここはゴエティアのアジト、そこには普通の人が居るはずがない。そして何よりアンディーがこれだけ警戒する相手だ。間違いなくこの少年は只者じゃない。


「ね〜お兄さん達が、中の人達を殺ったの?」

 無邪気な顔でおっかないことを言う。


「ん!どうだろう。半分以上ボク達じゃないけど少しは倒したかな〜、それにまだ結構な人数が生きているけど」


「え?そうなんだ、まだ生きてるんだ〜……役立たずは要らないからご飯しちゃおう!」


 パチッんと指を鳴らすとアジトの中から複数の悲鳴が聞こえてきた。


「おい!おまえ……何をしているんだ!やめろー」

 俺は叫び声を聞きながら、中では最悪のことが行われているのではないかと思い、その少年に止めるように言うのだ!


「ん?なんで、お兄さんからすれば彼らは危害を加えた憎むべき者達でしょ、彼らの悲痛な声を聞いて嬉しくない?楽しくないの?……あ!もしかしてもっと苦しめた方が良いのかな〜……言っとこうか」

 

「お前な……一体何を考えているんだよ!」


 少年の言葉聞き、態度を見て、彼が本気で言っているのが伺える。気味が悪い少年は楽しそうに笑う。


 ダメだ!言葉が通じる気がしない。

 力尽くで止めるしかない。


 俺が腰を落とし突撃する体勢を取ると、

「動くなタクト!……周りが赤く視える。危ないんだ!」


 アンディーが手で制して俺を止める。


「お兄さんには何か視えているみたいだね。どんなスキルか教えてよ〜」

 少年はニッコリしてアンディーに声をかけるが、アンディーの表情は固く、強張っているようにも見える。


「悪いが、教えてやるには君は気味が悪る過ぎる。それに君が一番赤いよ!」


「そっか残念、ま〜今の言葉でなんとなくお兄さんのスキルは分かったよ」


 ピリピリした空気の中、アジトから歩いてこちらに誰かがやって来た。

 あれ!?悲鳴が聞こえない。


「我が王、終わりました。お腹は膨れましたが、やはり美味くありませんな〜」


「うん、ご苦労さま、ごめんね!今度はもっと美味しい者(人)を用意出来ると思うからさ」


「ほう!それは楽しみですな〜」

 そう言ってこちらを向くそいつは人ではない。

 赤い肌をしたライオンの顔、そしてギラリと燃え盛る真紅の目をした兵士、悪魔だ!


「ホント、楽しみだよ!ボクさ〜待ち時間も好き何だよね!熟成して味がまろやかになる感じ」


「お〜分かりますぞ!吾輩としては希望と絶望を交互に与えると味に深みが増すのでオススメです」


「うんそうだよね!でもボクそれ前にやったから知ってるんだ〜一時期はハマったけど」


「そうですか、流石はアトラスくん」


「へへっそうかな〜」


 俺とアンディーが警戒しているにも関わらず何もしてこないし、楽しそうに不気味な話をしている二人、なんとか逃げれないものか!そう俺が考え始めていた時だった。


「あ!そろそろ戻らないとママに怒られちゃう。お兄さん達ごめんね!ボクそろそろ行くよ!」


「そっか、子供なのに忙しんだな。大丈夫だボク達のことは気にすんな!」

 俺はかる〜い感じで応える。……さっさとかえれー。


「うん、ありがとう。あ!そうだ!まだ自己紹介してなかった。ボクの名前はアトラスって言うんだ気軽に呼んでね…お兄さん……あともう一つの名前も教えておかないと!ボクはゴエティア72柱の九王が一人、パイモンって言います。宜しく!」


 ニコリと笑顔を見せるアトラス。


「九王だと………」

 アンディーは目を見開き驚いている。

 なんか凄そうなことしか分からんが俺も驚いておこう。


「お兄さん達またね〜!」

 アトラスの足元に真っ黒な円が現れ、二人は地面に沈む様に居なくなった。


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