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第437話 余を殴ったな!


「くっそーー!ふざけんな!」

 気合を込めた声を張り上げ、ヘルメットのスキル空間加速を最大まで上げる。


 身体が動く!?目の前を鋭い翼が通り過ぎる。

 躱せた!空間加速させたナイフを投げる。


 ほぉ!と驚くように目を少し見開き、羽を飛ばしナイフを止めた。

 

 あっぶねぇ〜死ぬところだった。

 これで一つ分かった。俺の身体は時魔法の類により遅くされていた。ヘルメットの空間加速で相殺したけど、それだけでこのまま戦うのは危険すぎる。

 

 相手の力を見極めろ。

 動きが遅い炎、間違いなくコイツのせいだ。

 初めにコイツはビスの動きを止め、そしてその後俺の動きを止めた。この時の共通点はなかったか?


 俺は距離を取りながら思考を巡らせる。

 その間パイモンは俺を興味深そうに見送る。


 俺は動きが止まるタイミングに着目する。

 ビスも俺自身も止められるまでに多少ではあるが時間がかかっていた。つまり瞬間的に効果を発揮したわけではない。それにもう一つ、俺が躱そうと離れた時、徐々に遅くなっていった気がする。これはあの炎との距離が関係しているのではないか、そう思えてならなかった。


 もしもそうであれば近づくのは危険だ。



「カンナ………」

 あれから動かずに倒れているカンナ、どの程度の怪我を負ったか分からない。あれほどの攻撃を受けたからには早く回復しないと、でもそれをパイモンがさせない。俺は苛立ち始めるが、すぐにそれを抑えた。


 ダメだ!冷静な判断なくして、コイツには勝てない。早く助けるためにもコイツをまずなんとかしないと。


「どうしました。そんな難しい顔をされて、余としてはもう少し戯れることが出来ると嬉しく思っておるのに」


「ボクはあなたの遊びに付き合う気はないんでね。そんな気分になれないんですよ」


「そうですか、それは残念、それにしてもまさかあなたも時空間に干渉が出来るとは驚きましたよ。あなたを殺すのは少し手間がかかりそうだ。もう少し本気を出しましょうか」


「ハッ、随分と大口をたたく、王ともなればそうなのかもしれないが、あんたはボクが浄化してやりますよ」


「うむ!面白い、ではお相手願おうか」

 パイモンは黒い翼から次々と羽を飛ばす。


『紅の羽…焔火』

 羽は燃える。その炎は先程と同じ時を遅くする力が込められていた。


 空間感知でそのことが分かった俺はプラスドライバーからビスを飛ばし応戦、しかし羽は直線的な動きばかりではない。すべてを落とすのは困難、残りは空間障壁とバーナーで対応する。


『地の精霊よ。ボクに力を貸してくれ!』

 地面に手をつき、地の精霊の話しかける。


 地面が揺れ大地が割れた。

 割れた大地から大岩や槍のような尖った岩が飛び出しパイモンに向かって飛んでいく。


 パイモンは黒い翼を払うように振り火花を飛ばす。



『紅の羽…焔障壁』

 火花はパラパラと赤い点のようにしか見えないが、俺の岩による攻撃が当たると激しく光り岩の動きを止めた。


 見た目には分からないが、あそこには厚い壁がある。この攻撃では無理ならば……


 俺はパイモンに向かって真っ直ぐに突っ込む。

 別にヤケになったわけじゃない。

 これなら行けると思ったからだ。


 突き出した右腕をプレートが回る。


『ドリル(空間破砕)』


 パイモンの守るように舞っている火花にドリルを突き刺す。この火花は時空間を遅くする効果があろうとも、その空間ごと壊してしまえばその効果を発揮することは出来ない。


「やるではないか、余の守りを貫くとは、しかしそのごへぇ」


 あ!当たった。

 俺の右ストレートがパイモンの頬にヒット、大きく首が吹き飛ぶ。攻撃が効いたのか動きが完全に止まった。今がチャンスだと思い、ラッシュラッシュ!連続で拳を振った。


 効いて……いるよな〜。 

 拳に確かな手応えがある。

 それなのに俺は殴れば殴るほど不安になっていた。


 なぜなら……パイモンは倒れないから……

 それが不気味でならなかった。

 

「キサマ、余を殴ったな!」

 パイモンはさっきまでとは違い明確に殺気を放つ。

 しかし俺も数々の死線を超えて来た。

 それに耐え拳を振った。


「バキッ」……骨が折れた。


 ただし折れたのは俺の腕、動きを止めていたパイモンが拳を振り反撃、それを俺は腕でガードしたのだが、あまりの威力に腕が耐えられなかった。


「うぐっ……痛ってぇー」

 想定外の威力、そしてなによりパイモンの様子が変わったことに驚いた。


「キサマ〜殺す殺す殺す!絶対に殺す」

 全身に殺気を身に纏ったパイモン、目が赤く変わりまるで獣のように唸り出す。俺はどうやらパイモンの何かしらのトリガーを引いてしまったようだった。


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