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第425話 イリスの地獄の訓練


 イリスに協力してもらえることを承諾してもらえた。そして地獄の修行が始まる。


「うおぉぉぉぉーーー!死〜ぬ〜………」

 

 俺は一度に体外に出せる魔力をただひたすら放出し維持している。これは全速力でランニングするような辛さを伴う魔力、MP(魔力量)を上昇の鍛錬なのだがこれが辛いのなんのって、そしてこれが地獄の修行とかしている理由はこの後にある。


「はぁ〜はぁ〜はぁ〜……も…もうだめ〜…………」

 俺は魔力を使い切り前のめりにぶっ倒れる。すると一人の綺麗な女性が傍によって来た。


「タクトさん、はい!どうぞ!」

「うっ……カミラさんもう…もうかんべん」

「うふふっ頑張ってください!タクトさん」

 俺の口に瓶を挿し込まれる。

 淡い光を帯びたその液体が身体の中に……


 魔力が回復してしまう。

 飲まされているのはハイマナポーション(神)。

 イリスが作った特別なマナポーション

 効果は通常の数十倍で魔力が超回復する。

 

 魔力を失った者に対して本来正しい対応なのだが、今の俺にとっては地獄に突き落とされるようなものなのだ。


 魔力を上げるには魔物などを倒し経験値を得ることでレベルアップし上げる方法と鍛錬によって上げる方法があり、今やっているのはもちろん後者。魔力を使い消費することで身体に負荷がかかり、寝て回復するとことで以前より魔力が強くなっている。筋肉をつける方法のような原始的な修練であるが、確実に上がる方法なのでオススメなのだが………

 


「さぁ!早く立ち上がりなさい。もう一度よ!」

 イリスから指示が飛ぶ。

 俺は足をガクガクさせながらなんとか立ち上がった。


 もう十回以上魔力を限界まで使いそしてハイマナポーションで回復を繰り返している。確かにポーションのおかげで魔力は回復しているが、疲労までは回復出来ないから、つまりメッチャしんどいんです!


「イ…リ…ス……流石にそろそろ限界が……」

「そう、やっと限界に近づいたのね。じゃ〜ここからが本番」


「…………イリスさんマジ」

「タクト、限界を超えてこそ真に強くなれるのよ」

 

 なにそれ、俺が渡したマンガにあったセリフ?


 それから更に十回ほど繰り返したあたりで気を失い魔力強化修練は終わった。魔力は確かに急上昇したけどもうやりたくない。


………………▽


「さ〜次の修行よ」

 目が覚めたらすぐに別の修行が始まった。

 スパルタ過ぎる。俺は死んだような顔をしていた。


「そんな顔しないで大丈夫よ。今度の修行は基本的には立っているだけだから、ま〜たま〜には動かないといけないけど」


 優しい言葉をかけてくれたけど、俺は信じない。今度はどんな地獄が待っているんだ!俺は気合を入れ直す。


「アタ………アタタ………アタ………アタタタタタタ」

 

 うぅ〜うぅ〜………これってイジメじゃないの?

 俺は目隠しを付けられひたすら小石をぶつけられていた。小石なので大したダメージにはならないけど、地味に痛いし精神面的にイラつくし悲しい。


 この時、タクトは見えていなかったが!イリスとカミラは魔法を使わず手で石を投げていたから見た目は本当にイジメに見えていた。


 これは比較的つい最近取得した『予知(稀)』の修行、まだ一度も使えたことはないだけに、この修行は苦戦した。結局この日、俺がただただ二人に石を投げつけられただけだった。


「うぅ…なにこれ、本当に意味あんの〜」

 俺の心は傷ついていた。


「そうね。予知スキルはかなり難しい能力だから、2週間の間に発動出来るようになるのは難しいでしょうけど意味はあるわ。感覚が研ぎ澄まされてあなたが本当に危険な時には発動出来るようになる………はずよ」


 ……………微妙なんだ。

 苦労した割に使えなかったらショックなんたけど。



……………▽


「サーー次の修行よ!張り切って行きなさい」

 マジか!まだ続けろと。 

 イリスがだんだん女神ではなく鬼に見えてきた。

 正直今日はもう色んな意味でボロボロなんですけど。


「タクト、カンナを呼びなさい」

「あ、うん、カンナ来てくれ」

 

 地面に配管がニョキッと設置され、カンナが飛び出して来た。空中で3回転半して地面に見事に着地する。なにそれ無駄に派手な登場。


「どやぁ!カッコええやろ〜」

 どうやら褒めて欲しかったからやったようだ。

 こう言う時は求められたリアクションを取る。

 それが良い関係を築くコツなのだ!

 俺は派手なリアクションで褒めておいた。


「アタ」

「イッタ〜」

「オヘェ!」

「わぁー!?」


 今度の修行は前の二つよりかは幾ぶんかマシだが、やっぱり難しい。今やっている修行は『思念伝達(短)』、これに関しては戦闘の際に今までも使ってはいたが、攻撃をするタイミングを合わせたり躱す際にフォローをしていた程度だった。それでもこのスキルはかなり役に立っていたのだが、でもイリスからすればまだ足りない。もっと上手く使えるようになれと言われた。


 そして今やってるのはカンナとの組手、ただしお互い目隠しをした状態で何も見えない。相手に明確に自分の動きを思念伝達で伝え攻撃を受け躱しているのだけど相手に明確に伝えるのは難しいものだ。


「はぁ〜痛つぅ〜」

 躱せない時もあるが少しずつは上手くなっている。

 確かにこれは良い修行だ。


「あ〜もう!空間感知が使えればええのに」

 そうだなカンナ、気持ちは分かるけど、それだと修行にならない。



「思念伝達はそれなりにものになりそう。これは続ければ精度は上がる。このまま続けましょう」


 イリスは満足そうに言った。

 ふぅ〜これでやっと終わる。



「さ〜次よ!」

「ちょ!?イリスいくらなんでもやり過ぎ!」

「何を言ってるのかしら〜タクト、私はあなたを絶対に勝たせる修行をするつもりよ。こんなのまだ始まったばかりじゃない」


 イリスが珍しく分かりやすく笑っている。

 これは絶対に逃げられない。


「はい……分かりました。お願いします」

 俺は諦めた。

「そう。それでいいのよ。それじゃ〜さっき聞きそびれたあなたの策について教えてもらいましょうか」

「あ〜それね。作業服つなぎのスキルがもっと使えれば勝てる気がするんだよね」

「なるほど、そのスキルの効果をまず教えてもらいましょうか」

「あ〜作業服つなぎのスキルは…………」


 イリスの地獄の訓練は続く………

 


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