第404話 ユニークスキル『アークフィールド』
ネビエルがキョウカの闇魔法ダークホールを切ると同時にイグニスとバロンは動いていた。イグニスは剣から炎を出し、それを推進力に一直線にネビエルに向かって行く、剣を上段に構えそのまま勢い良く振り下ろす。
重く鋭い一撃であったが、ネビエルは膨大な闘気を纏った腕で受け止めた。
「天使さんよ!この程度じゃ俺は終わらないぜ!」
イグニスは剣に纏った炎を一段と大きくし、その炎で推進力をさらに上げる。ネビエルはそのまま押し下げられていった。
「イグニス負けんなよ!」
その時バロンの激励が飛ぶ、バロンはネビエルの落下地点に待機しており、剣の真上に向けて構え突き放った!
『ライトセーバー』
バロンの剣が光を纏い、そして突きを上空に向かって放つと剣先から光が伸びる。光はネビエルの背中に突き刺さった。
「オリャー!そのままぶっ潰す」
イグニスとバロンの二人に挟まれる形で攻撃を受けるネビエル、膨大なオーラに守られているネビエルだったが、ジリジリとその障壁を削り貫こうとしていた。
ネビエルはほどんど意識がない状態で闘っていたがそれでも生存本能は働いた。
天使ネビエル、初代国王エリウス・レオルに召喚され、その力を行使し戦場を治めた大天使。そしてその力は圧倒的なオーラとユニークスキル『アークフィールド』による絶対防御によって行われた
ネビエルの身体から青白い光が膜になって表面に出る。光りの膜はイグニスの剣を押し上げバロンの攻撃を弾く。
イグニスとバロンは負けまいと攻撃を続けていたのだが、目の前にネビエルから出た光の膜と同じ小さな玉が現れる。光の玉の中では稲光走っていた。
イグニスとバロンは直ぐさま防御態勢を取る。
光の玉からは雷光が光、二人を襲う。
雷撃は二人の身体を貫き痺れさせた。
バロンは膝をつき、イグニスは落下し転がる。
二人の身体には高圧電流が流れ身体には熱傷が出来ていた。
「くっそ〜……かなり痛てぇー……おい!バロン目覚せよ!」
イグニスが声をかけるとバロンはゆっくりと立ち上がる。
「オホッオホッ……私はお前ほどタフじゃないんだ。少しは休ませろ」
文句を言いながらもバロンはしっかりと剣を握っていた。
しかし……実はこの二人結構痩せ我慢をしていた。立ち上がることは出来てもまともに動くことは出来ない。今も痺れが取れず、足が震えている。
『キュアレイ』
イグニスとバロンにスポットライトが照らされた。この光はキョウカの回復魔法、短時間で外傷を回復した。
「イグニス、バロンさん、一度下がって!ボクとキョウカで攻める」
タクトが指示をすると二人は素直に後退、光も合わせて照らす場所を移動させ継続して回復させる。
タクトは先程のネビエルから出ていた光の膜を思い出す。アレが結界の類なのは分かる。しかもイグニスやバロンさんの剣を防ぐほど強固、更に雷撃を放つようで受ければまとめに動けなくなる。
ま〜でも俺なら多少は抵抗出来るかな。
タクトは空中に空間障壁の足場を作りネビエルに向かって上がって行く。ネビエルは近づくとやはり青白い結界を張り守りを固める。そして光玉をこちらに飛ばして来た。
光と共に稲妻が広がり俺に向かって来る。タクトは魔力を全身に覆い属性変化、全身が光り出したところに雷撃を受ける。
(痛っ〜…………でも耐えられた!きっとだいぶマシだ!)
普通なら丸焦げになるほどの雷撃に対しタクトはスキルにある雷魔法で全身を覆うことで抵抗する。しかし完全には防げずダメージは受けてしまった。
「うおりゃー!肉を切らせて骨を断つじゃい!」
タクトはハンマーを振ってネビエルに攻撃する。
「ガン」っと凄い衝撃が結界に衝突する。
硬い!……殴った感触で分かる。
でもタクトは予想していた。この結界は破ることは出来ないと、しかしタクトの予想を超えられる。
「おいおいマジかよ!ヒビくらいは入ると思っていたのにビクともしないかよ」
タクトは驚きながらも手を動かす。その手にはナイフを持っており魔力を込めて投げた。ナイフは結界に止められるが、ナイフの効果空間加速で結界の劣化を加速させ更にマイナスドライバー(貫通Ver)を当ててハンマーで叩いた。
「ピキッ…ピキッピキッ」
(これだけやってヒビが入って小さな穴が空く程度か、どんだけ頑丈だよ!………でも結界破れたり〜だ!)
タクトはバーナーを取り出し先端を結界に空いた穴に突き刺しトリガーを引く。
『空間延焼』
結界の中は炎に包まれネビエルは見えなくなった。
そのまま燃え尽きてくれればと思い結界を見るが、中で蠢くものが見えた。ネビエルが死んでいないことが分かり次の攻撃の準備を始める。