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第403話 キョウカに怒られる



「ふん!タクトさっさと立ちなさいよ!」


「ボクはなんも悪くないからな。機嫌は直せよ」


「うっうるさいわね!あんたの顔がムカつくのよ」


「うぇ〜………」……ガクッと肩を落とし気落ちする。


 ホント俺は悪くないんだよ!

 キョウカが満面な笑みをした。普段はキリッとした美人さん、そんな彼女が笑う。これはどう言う結果をもたらすか………ギャップ萌えである。正直言って俺はそう言うのに弱い。俺は彼女に見とれていると、どう言う訳か、キョウカはバカにされたと勘違い。照れながら怒ると言う面倒くさい状況に、キョウカの機嫌は一気にななめになる。



「もう!何してるのよバカ!今はこんなことしている暇ないでしょ!シャキッとしなさい!シャキッと!」


 キョウカに怒られたのは納得いかないけど、確かに今はそんなことをしている時ではない。でも気になることがある。まずはその確認。


「キョウカ、ニキはどうした?一緒だったはずだが」


「そのうち来るわ。私は強い魔力を感じたから急いで空間転移で先にやってきたわけ」


 なるほど、それなら良かった。ま〜ニキのことだから心配するだけ無駄なんだけどさ。


 その頃、タクトの心配をよそに、ニキは王城の真っ白な柱に気持ちよくオシッコをかけていたことは知る由もなかった。



「タクト危なかったな〜死ぬところだったぞ」

「そうですね。だからその辺に転がってないで早く助けに来てくださいよ」

「おいおい!そんな顔すんなよ。こっからは助けになるからよ」


 イグニスが嫌味っぽいことを言って現れたので、こっちも嫌味っぽいことを返したら、慌てた顔をして謝る素振りをしたので許してやる。


 そしてイグニスの後ろにはバロンさんも居た。この二人なら大丈夫だと思ってはいたけど、なんともなさそう。これで戦える者が四人になった。これなら対抗出来る。



「タクトくんどうしようか?」

「え!?バロンさんがボクに聞くんですか?」

「もちろんリーダーはタクトくんだからね。大丈夫私も手伝うよ」

「バロンさん分かりました。宜しくお願いします」


 タクト達が話し合っている最中、アトラスは堕天使ネビエルを見ていた。天使……神の使いであり人々の守護者、地上の者達とは別次元の存在、身体に身に纏うオーラは数百人分の戦士に相当する。こんなもの傷をつけることなどそうは出来ない。そして天使であればあの行けるはず。


「少し試しておくか」

 アトラスはボソッと呟きタクト達に向き直す。


「ネビエルあそこに居る四人を倒して」

 アトラスは指を差し命令するとネビエルは翼をはためかせ飛び立つ。それを見たタクト達は戦闘態勢に入る。まず攻撃を仕掛けたのはキョウカ、光の矢を生成し数十本飛ばす。それをネビエルは気にせず一直線に突っ込んで来る。圧倒的な闘気オーラが矢を物ともせず弾く。


『雷魔法避雷針の牢 サンダープリズン』


 キョウカの杖から雷撃が放たれ、それが光の矢に当たると全体の矢に伝播しネビエルを囲い、さらに全方位から雷撃で攻撃、ダメージを与えながら痺れさせ動きを止めるはずだったのだが………



「やっぱりタフね!この程度じゃ止まらないかしら、でもまだよ!」


 キョウカは杖を指揮棒の様に動かし魔法陣を描き呪文を唱えていた。


『闇空間魔法ダークホール』


 ネビエルの前にバスケットボールサイズの黒い玉が現れブラックホールの様に周りの物を吸い寄せる。しかし吸引力が足らないのかネビエルは空中に留まっていた。そこに更なる攻撃が始まった。黒い玉から影の様な黒い手が何本も伸びて行く。その手がネビエルを掴むとそこから浸透するように身体が黒く変色した。


 このダークホールの恐ろしいのは呪いをかける力、相手の力(魔力や闘気)と気力(やる気)を奪う。徐々に疲弊しくことで黒い玉の中に吸い込まれ、そしてあの世に連れて行く魔法、キョウカ自身も初めて使っており、この魔法は制御をミスると周りの物を全て巻き込み取り込む危険性があることで細心の注意を払って放っていた。


 ネビエルが黒い玉に吸い寄せられて行く。キョウカはこの時点でほぼ倒したことを確信していた。しかし次の瞬間驚くことになる。ネビエルは白い翼を高らかに伸ばすと白銀の光を放つ、光は身体を侵食していた呪いを浄化し拘束を解く、そして動くことの出来るようになったネビエルは白銀に光る翼で剣のように鋭い一撃で黒い玉を切った。



「そんなあり得ない!」

 キョウカは動揺していた。この魔法はキョウカが扱う中で最上位の呪いをかける魔法、どちらかと言うと苦手な属性であったが、解くには大司教クラスの聖職者でなければ解けない。だから攻撃が当たった瞬間に勝利を確信したというのに………



「流石は天使、あんな強力そうな闇魔法を弾くなんて恐ろしいヤツ」


「はぁ?」………キョウカは横にいるタクトに顔を向けた。


「ねぇ〜タクト、今変なこと言わなかった?天使がなんだって」


「ん?変なこと……特におかしなことは言ってないと思うけど、やっぱり天使は凄いんだな〜って思っただけで……」


「なにそれなんで言わないのよ!」


「え!?…………えーっと……知りませんでした?」


 キョウカはジトーっとした顔で威圧する。タクトはやらかしたかな〜と思いながら恐る恐る言葉を選んで喋ろうとしたが、それがキョウカをより苛つかせた。「天使なら呪いなんて効くわけないでしょ!もっと早く言いなさいよね!バッカじゃないの!」と怒られていた。

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