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第401話 堕天使ネビエル


◆タクトの視点


「ビギャァァァァア」


 おいおいなんだなんだ!?またボルジアが変異しやがったぞ!翼が生えて頭も鳥みたいになっちまったし、今度は飛び回るつもりか?厄介なだな〜じゃなくって状況の変化に頭がついていけない〜!


 ここは一度冷静になるんだ。

 目の前には変異したボルジア、その傍にアトラス、壁には拘束されたハドリアヌス国王、ローラン侯爵、ブライアン侯爵の三人、そして後ろにはエリック王子にラウラ王女が控えている。そして俺の傍にはローム先生と現在おネムのエメリアが……マジ起きてほしい。


 変異したボルジアは叫び、それを嬉しそうに見つめているアトラス、どうも二人とも俺達に意識が向いていないようだ。これはチャンスかも。


「先生お願いがあります。エリック達と一緒にハドリアヌス国王達の救出に行ってください」


「なんと!?まさかお前……一人で闘うつもりか?」


「そんなわけないですよ。あの二人を相手にするほど自惚れていませんから、それより今がチャンスなんです。アイツら僕達を見ていない」


「ふむ…確かにの〜……うむ!分かった。任せよ。何かあれば援護は頼むぞ」


「了解です先生、みんなを頼みます」


 先生はエリック王子とラウラ王女の下へと飛んで行く。俺がやることはアイツらの意識が先生達に向かないようにすることともしもの時は俺が止める。


 ………しかし二人は全然動かなかった。俺はただじーっと集中して二人を見守るだけ、先生達は順調にハドリアヌス国王達を救出していた。良かった。………でも本当に気が抜けない。二人は確かに動かないけど、たぶん状況は悪化していた。


 変異したボルジアの魔力が暴走しているように体内で渦巻いているのが分かる。普通ならそんなの分からないけど魔力の量が異常過ぎて視覚化されていた。



「お〜いタクト……たぶんそろそろ危ないよ〜」

 アトラスがこちらに手を振り何かを言っている。そう認識した時、変異したボルジアから魔力が奔流するように放出された。魔力は謁見の間を突き抜け壁を破壊していく。


 この魔力はヤバい!俺は自身の前と先生達の前に空間障壁を張り守りを固める。


 放出された魔力は弱まるどころかどんどん強くなって行く、収まることのない魔力は天井を吹き飛ばし床を割り王城内へ広がって行く王城は半壊してしまった。




「危なかった。アイツが一声かけてくれた分早く空間障壁が張れたのが幸いしたな」


 先生達も無事なようで、今は絆創膏ばんそうこうで治療を行なっている。状況は良くなったと思いたいんだけど、目の前のヤツらがそうは思わせてくれなかった。


 アトラスは空間を裂き再び現れる。さっきの魔力から逃げるために……そうかコイツも空間属性のスキルを有しているのか。


 そして変異したボルジア、姿はさっきのままだけど、大きさがふた周り以上デカくなっている。今は五メートルを超える高身長の化け物と化した。



 見ただけで逃げたくなる脅威を感じる。出来ればこのまま逃げたいところだな。実際最低限のことはやったし空間転移で逃げよっかな。


 そう思っていたら、変異したボルジアの目がギロッとこちらに向く。見られただけで腰が抜けそうなプレッシャーがかかる。…………何か来る!?


 変異したボルジアがこちらに向かって黒い翼を振ると翼から黒い斬撃が飛んで来た。俺は安全靴を発動し空間反射をする。



「うぐっ」……なんだこれは!?………お…重い!


 空間反射は俺の周辺の一定空間に触れたものをそのまま返すスキルだから今までこんなことはなかった。


 斬撃は俺には触れていない!だけど衝撃のようなものが俺にのしかかってくる。斬撃はなんとか返すことが出来たが俺は十メートル以上押し込まれる。



「くっ、なんて重たい攻撃だよ!ふざけたパワーを持ってやがるな〜この鳥頭野郎が!」


 今の斬撃のように威力が高過ぎると、今回みたいな現象が起きるのか、コイツ相手だと無闇に空間反射を使うと隙を作る要因になりかねない。かと言って躱そうと動けば安全靴の発動条件から外れて使えない。



 俺は考えを巡らせる。ただしもう油断するつもりはない。決してボルジアから目を離さなかった。


 そうこうして考えていると意外なことが起きる。

 何故かアトラスが俺とボルジアの間に入る。



「どういうつもりだ。もしかして一緒に闘ってくれるのか?」


「タクトごめんね!冗談を聞いている暇はないんだ〜。一応言っておくけど邪魔しないでね!」


 アトラスはそう言って変異したボルジアに声をかける。

 


「やぁ!はじめまして、天使ネビエルご機嫌はいかがかな?」

 


 天使?え!?アレが?

 変異したボルジアをアトラスは天使と言った。

 あんな大きくて鳥顔のヤツを天使とか言われてもピンと来ないぞ。


 俺は頭を傾げることになった。




◆アトラスの視点


 さてと、ここからが重要であり、最も危険なこと、契約は行使されるのか?もしもされなければ、これを力尽くで従わせなければならない。



(ムッ!来たね!)

 高速で移動し目の前に降り立ったネビエルはボクに向かって手を伸ばす。



「止まれ!ネビエル」

 

 高速で伸びて来た腕が急速に速度を落とし、僕の前で止まった。


(………ふぅ〜…契約は不履行にされてはいなかった)


 腕はビクビクと動きながら徐々にこちらに近づいて来ていた。


(なるほど……堕天使化の影響があるみたい。ボクの指示を完全には聞かなか、でもこれだけ動きを制限出来れば目的の遂行の問題にはならない)



 さぁ……喰うか……… 

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