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第400話 白い翼………そして至る!


◆謁見の間にアトラスが行く少し前のこと



「復活すると言うのは、何がなんだ!それは逢魔の扉にも関係があることなのか?」


「うん!そうだよ。バロンが予想していることはあっている。逢魔の扉に封印されていた者が復活するんだよ!」


「それは聞いたら教えてくれるのか」


「うん!いいよ。さっきは断っちゃったし、お詫びに教えてあげる。逢魔の扉に封印されていたのは『天使』だよ。ただしいわゆる堕天使と言われる存在ではあるけどね」


「堕天使……か逸話で聞いたことがある程度だが、そいつは私達人間の敵なのか?」


「う〜んどうだろう。それは難しい質問かも、あそこに居るのはかつてこの国の初代国王エリウス・レオルが召喚した天使の力を取り込んだボルジアなわけなんだけどどうも変わった性質を持っていたようだね。


 初代国王エリウス・レオルとても正義感が強く慈悲深く高潔な人だった。だからこそその天使は彼を愛しそして長く一緒にいるために契約を結ぶことにした。


 でも契約の内容が良くなかったかな。レオル国王も天使も欲張り過ぎた。契約を個人でなく一族、子孫達にしてしまった。これはレオル国王の優しさだったんだね。子孫達を守るため、そして天使が寂しくならないように、でもレオル国王が思っていたようには残念ながらならなかった。人の欲望って言うのは恐ろしい。時の流れがそれとも環境が人の欲望を増長させた。レオル国王の子孫達は絶大な力を持った天使を武力として扱い他国に戦争を仕掛けたんだ。もちろん天使の力は凄まじく大きな戦果を挙げ続けた。でもね!そんなことは天使はしたくなかったんだ。だけど契約をしていたから、彼らには逆らえなかった。そして天使の心は荒んでいき歪んでいき闇に墜ちて行った。


 天使の翼は徐々に黒ずんで行く。これは彼女の心が反映されたことが影響していた。そして戦場に渦巻く苦しみや悲しみの負の感情を天使にまとわりつき、天使の翼は完全に黒く変色してしまった。


 天使は変わってしまった。それにより契約に抗う力を手に入れてしまった。天使は堕天使となり一度国を滅ぼすほどの大惨事を起こす。運が良かったのは力を使うことで負の感情が薄まり契約を行使することが出来た。それ以来その天使は力を無くさせられて逢魔の扉の部屋に封印されてしまった」



 アトラスは一区切り話し終わると再びボルジアを見る。


「ボルジアは欲望の塊のような男なんだよ。フッ…きっと過去の子孫達と同じようにね。今の天使は力を失っているから力を取り戻してもらわないとね」




 バロンは話を聞きながら推察しあることに気がつく。


「まさか……そんなことが………もしそうなら、そうか!?それで反乱を起こさせたのか」


「そうだよバロン、君の考えはたぶんあっている」


「負の感情、いや負のオーラというべきか、それを集めるためにボルジアを起点として反乱を起こさせ王都を負のオーラで満たした。天使の力を取り戻させるために」


「うん、だいたいあっているよ。でもボルジアにした理由は私怨かな、アイツにはしっかりと苦しんでもらわないと、きっと今痛みに苦しんでいるはずさ、身体は再生しても痛みは感じているはずだからね!えへへ嬉しいな〜もう少しなんだもう少しでボクの願いは叶う。だから誰であっても邪魔はさせない」



「おいおいちょっと待てよ!話が違うぞ!色が変わっていく」

 アンディーが突然騒ぎ出す。


「ど…どういうつもりだ。急によ!殺る気になったのか?」


 イグニス達を縛る鎖が締まっていく。


「うん、気が変わったよ。本当はこれ以上何もしないつもりだったけど、やっぱり君達を野放しにしておくのは危険な気がしてきたから、ごめんねボクの願いのために死んで……ん?」


 アトラスは何かに気が付き上を見上げる。



「バエルは倒されたのか、意外と早かったかな。作戦は予定通り、いやそれ以上に早く進んでいる。ボクも急いだ方が良さそうだ」


 イグニス達を締めていた鎖が一気に緩んだ。



「ごめん。コロコロ変わって、気がまた変わったよ。

急ぎの用が出来たからイグニス達はここで大人しくしていてね!それじゃ〜」


 ピキッと空間にヒビが入ると空間が裂け、その中にアトラスは向かって歩いて行く。イグニス達はそれを黙って見ているしか出来ず、そして謁見の間を再び見る。アトラスは謁見の間に移動していた。




◆アトラスの視点

 

 天使は負のオーラによって力を取り戻しつつある。でもまだ不十分だ。それに今のアレは天使とはとても言えない。ただ元が天使だけと言う存在、ほとんど悪魔と言っても差し支えがないほど、これでは力があっても使えない。



 ボクは空間転移でボルジアの前まで行き観察する。

 

(やはりボルジアでは力をつけるには最適だったけど安定感がなさすぎ。このまま放っておいたら近いうちに自壊して消滅する。この町を半壊させて、ボクはそんなことがしたいわけではない。その力がほしいんだ。だから無駄使いはこれ以上なしだよ)



 しかし当然ボクが思うようには動かない。ボルジアはボクに向かって腕を伸ばして来た。けどボクは甘くないから、ボクのユニークスキルで腕を消し飛ばす。


 少しは時間を稼げたかな。

 聖女早く聖杖結界を発動しろ!


 

 その時謁見の間に設置されている杖が様々な色で輝き出した。



「エヘッ、ありがとうみんな協力してくれて、これできっとボクの願いが叶う」


 杖から放たれた光の粒子は謁見の間に広がったがのだか、すぐにその動きを変える。ある一点に吸い寄せられて行ったのだ。そこには虚ろな目をしていたはずのボルジアが目を見開き何かをしていた。


(その調子だ。もっとだ!もっと吸収しろ)


 光の粒子は渦を巻くようにボルジアの身体に溶け込んでいく。杖からは際限なく光が出続けそれを全て吸収していく。膨大な力がボルジアに溜まり、更なる変異を見せる。



「ビギャァァァァア」


 ボルジアの声とは思えない甲高い鳥のような叫び声をあがる。そして背中に生えている黒い翼の隣から突如白い翼が生えたのだ。



「アハッ…やった!やった!とうとうボクはここまで来たんだ!もう少しあともう少し」


 ボクは打ち震えるほどの喜びを抑え、最後の仕上げに取り掛かる。



 ボクの前には神々しいほどのオーラを纏い、そしてボルジアの姿を微塵も残すことなく変異した鳥頭と大きく広げた美しい黒と白の翼を生やした堕天使が誕生した。

祝400話達成!✧◝(⁰▿⁰)◜✧

ご愛読して頂いている皆様、本当にありがとうございます。


 徐々に話が盛り上がって来たところです。お暇なお時間がありましたらどうぞお読みください

ヨロシク(。・ω・。)ノ



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