第397話 あ〜んこわいよ〜〜〜!
「まぁ!ボクのことはどうでもいいんじゃない!えっと聞きたかったことは逢魔の扉に入る方法だったね!まず一つ入るために太陽の指輪が必要だと言われているけど間違ってはいないよ。でもね!正確ではないんだよね〜。実は太陽の指輪には対になる指輪があるんだ〜」
「それがもう一つの鍵、他に存在していたのか」
「うん!ま〜そう言うこと、ちなみにこれがその鍵、月の指輪だよ」
アトラスは首にかかっている鎖を引くと胸元に隠れていた指輪を引き抜き見せる。
「どう綺麗でしょ。太陽の指輪に比べれば地味かもしれないけど、この淡い輝きがすごく優しくって癒されるんだ〜」
アトラスはその指輪を大事そうにさすり、その光を見てうっとりとしていた。
「それは少しおかしくないか。それをなぜ君が持っている?逢魔の扉を開けたのはボルジアだろ」
「えへへ……そうだ!バロンもう一つ訂正させてよ!扉を開く条件は王族の血を引く者に限るってことだけど、それは間違ってるかな。正確ではないんだよね。エリウス・レオル……この国を作った初代国王にして最初の契約者、彼の血を引く者だけあの扉を開き、契約を行える」
「あぁ?分かんねぇな〜。それは王族に連なる者となんか違うのか?」
違いが分からずイグニスは首を傾げた。
「イグニスそれは違うぞ!イヤ…でもまさか!?そんなことが………アトラスお前がそうだと言うのか」
「バロンは頭の回転が速いし、飲み込みも早い。どうだろうね。ボクはそんなことはどうでもいいんだけどね!」
…………………▽
◆謁見の間、エメリアの視点
やったー!倒したよ!タクト褒めてくれるかな〜
タクトをイジメていた悪いヤツをぶっ飛ばして気分良く戻ろうとしたら、悪いヤツ立ち上がってる。あれ?おかしいな〜痛くないのかな?それならもう一度だよ!
悪いヤツに向かって飛んで行く。
(今度こそ〜!)
「羽虫が!潰れろ!」
悪いヤツは速かった!?ヒョイッと横にズレて叩かれる。
(痛った〜い!?殴ったなぁーー!)
負けじと突進したけど、コイツ速すぎ!全然当たらない。も〜うこうなったら教えてもらったアレやるよ!
大きく息を吸って〜一度口に溜める。
頬を膨らませて躱してから吹く。
『ファイア』……口から炎は吹く。
悪いヤツは炎に包まれ丸焼きになった。これで……
(へえ?……うわぁぁぁぁ!?)
丸焼きの悪いヤツが襲ってくる〜。
なんでなんで!?熱くないの〜?動かないでよ!
なんとか逃げたけど追いかけて来た。
うっも〜う〜!いい加減にしつこい〜。
もう一度口に炎を溜める。
今度はちょっと違うよ〜!
口を開けるも火球が飛んだ。
悪いヤツは気にせず腕でそれを弾いた。
「ボン」……腕に当たった火球が爆発する。
悪いヤツは「ウグッ」と声を漏らし後ろに下がる。
やったー!攻撃が効いた〜!
悪いヤツの腕が曲がっていた。これならもっといっぱい行っくよ〜!
さっきよりさらに大きく息を吸って大きく頬を膨らませる。
「ン〜〜バァッ!」
ぼくは口から火球を放つ!
今度は五個だからきっと倒せるよね〜。
倒せると思うとちょっとウキウキしちゃう。
そう思って浮かれていたら、アレレレ!?
火球の間をくぐり抜けて手がこっちに向かって来る。腕ってあんなに柔らかくってグネグネ動けるんだ〜びっくりした。
ぼくはその伸びる手を上昇して躱す。
どんなもんだ~い!………えっ!?うっそー!?
手だけじゃない!指が伸びて広がった。
囲まれて逃げ場がなくなりボクは握られ捕まる。
「うわ〜〜放せ!放せ!う〜う〜」
どうしよう絡まるみたいに全然この手離れないよ〜。
悪いヤツは腕を元の長さに縮めてぼくを傍まで連れて来るとギロッと睨みつける。
(こっこっこわーーーい!え〜ん助けて〜)
悪いヤツの顔がグチャグチャで真っ赤っ赤、目がグリグリ飛び出て〜キモチワルイ〜。
「羽虫がやってくれたな!この程度で俺は倒せないが腹が立ったぞ!タダでは殺さん。じっくりと痛めつけて殺してやる」
悪いヤツの目がギラギラと血走ってこわ〜い!
「あ〜んこわいよ〜〜〜!」
「良いぞ!泣き叫ぶがいい」
ボルジアは満足そうに笑う。
「あ!すいませんね〜うちの子に手を出さないで頂けます」
ボルジアは腕を見て驚く。
手首にナイフが刺さり、そこから凄い勢いで老化し腐っていく。エメリアを掴んでいた手は支えられなくなり落下した。
「おっと!危ない」
落ちて行くボクを優しくタクトが受け止めてくれた。
「エメリア大丈夫だったか?痛いところとかあったら言えよ」
ぼくはいつの間にかタクトの胸に抱かれていた。
あ〜あったかい………タクトの胸はなんでこんなにあったかいんだろう。気持ちいいな〜……なんか眠くなっちゃった。うっ…うっ…う〜ん……すう〜………。
「あの〜エメリアさん……戦闘中なんで寝るのはやめてね!」