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第394話 変異するボルジア


 ボルジアの変化が著しい。身体が金属の如く硬化されて、それでいて動きもかなり速い、今のところはヘルメットの空間加速で対抗出来る程度に感じるが、これが最高速とは限らない。油断は出来ないな。


 とにかく一度攻めてみるか。


『ニッパーブレード』

 

 ニッパーの先端から光の線が一メートルくらい伸び、ボルジアの両サイドで挟む。


「おっと危ない」

 ボルジアは飛び上がりニッパーを回避すると、空中で回転し蹴りを落としてくる。それを空間障壁で受け止め、ハンマーを手元で軽く振る。


「ゴッ」……突然の側面からの強い衝撃、ボルジアは防御する間もなく押し飛ばされた。


 ボルジアは無理やり空中で体勢を立て直し四つん這いばいで着地、すぐに勢いよく飛びかかって来る。



 なんとなくだったが予想通り。

 ボルジアは戦い慣れていたい。

 ただ見て!殴って!蹴っているだけ。ただの暴力。

 あの身体能力は驚異だがやりようで十分叩き潰せる。


 

 ここ最近のバタバタが俺を成長させていた。即座に戦術を構築する。


 

「まずは動きを止める」


 ボルジアの動きは速く捉えるのは中々難しい。ま〜普通ならだけどね!さっきも思ったが戦いに慣れていないから単調で直線的な動きをする。まずは自分の前にタイミング良く配管を設置すれば勝手に入ってくれる。その後配管の出口を近くに設置、この時気を使うのは出す方向、俺をすぐに視認されないように後ろ向きにする。案の定、ボルシアはすぐにはこちらに気が付かない。その間にボルジアの両側に空間障壁を張って動きを制限する。


(お!気がついたか。)


 ボルジアは周りを見渡し、目の前に誰もいないので

振り返る。


(ここだ!いっけぇーーー!)


 左手でマイナスドライバー(貫通Ver)を構え、そいつの柄を思いっきりぶっ叩くー


『マイナスドライバーハンマーストライク』

 凄まじい速さでマイナスドライバーが飛んでいく。

 

 ボルジアは振り返りざまで反応が遅れているものの、その超身体強化で反応し移動を始める。


(へぇ!逃がしはしないよ!)


 ボルジアの両側に設置していた空間障壁の形状を変え、ボルジアを挟み込む。動きを止められたボルジアにマイナスドライバーを躱す術はない!


 シャッ!……ドサッ……ドサッ……

 ボルジアの身体は……真っ二つに切れた。


 切れた身体は両サイドに倒れた。




「なんだこれはーーー!?なにをしやがったーー!」

 

 さっきまでのイケメンとは違い、荒々しい声をあげて……キャラが定まってないな〜コイツ。


 

「それにしても………キモいな〜」


 ボルジアは縦に真っ直ぐ切ったから、倒れてから顔も半分になりながらもパクパクと分かれて動く口がキモいと思いポロッと言ってしまった。



「キモい?お前は何を言っているんだ」


 ボルジアは言っている意味が理解出来ていない。言葉の意味を知らないのか?それとも自分が気持ち悪いを受け入れられないのか?分からないがあえて怒らせることもない。


 それにしてもこの道具の効果、威力は凄いけどキモいんだよ!身体は切断されていても切断された断面は空間内で繋がっている。だから見た目は悪くても殺さず動きを止めることが出来る。



「ボルジア、その話は置いておいて、もう降参してくれるよな。話を聞きたい」


「降参?なぜ私が降参しなければならない。私は世界を統べる存在になったのだぞ!」


「世界を統べる存在?………退魔の扉か!?」


「ほう!それを知っておるとは、なるほどお前は兄上の刺客であったか」



 いつの間にか冷静になったボルジアは納得したように話をしながら立ち上がる。……立ち上がる。……立ち上がったのは問題だが……それ以上に問題なのは……


 

「冗談!ふざけてるな。………どうやったら倒せるのか本格的に分からなくなったぞ」


 真っ二つに切ったボルジアがそれぞれの身体で変異、ボルジアが二人になって立っている。



「ほう!すごいな。私が居る。不思議だ。目の前に居るのに一人の感覚と何ら変わらん。すごいぞ!何たる力だ!これで私が思うままに世界を操れる。私に逆らえる者など誰も居なくなるのだーーー!」


 二人同時に同じ言葉を発し、そして高らかに笑う。

 さっきとは別の意味で気味が悪い。

 どう対処すれば良いか分からない。


 俺は考えを巡らせ(迷い)反応に遅れが生じてしまう。



「おっと、どこを見ておる?」

 ボルジアが急速に接近、拳を振り上げ殴る。

「ドン」重い衝撃音を出しながら空間障壁で受け止める。


 危なかった。顔の側面近くまで近づかれており、今のポルジアの力で殴られれば致命傷になり得た。


 目の前のボルジアはニヤリと笑い口を開く。


「もう一度言うぞ。どこを見ておる」



 ゾクッ!?その言葉を聞いた時、咄嗟に動いてしまう。

 振り返り見ると………

 チッ……意趣返しかよ!


 増えたもう一人のボルジアが後ろから接近しており、タイミング的に躱すことも防御することも出来ない。


 強烈な蹴りが俺の腹部に刺さる。

 バキッとどこかの骨が折れる音がした。


 吹き飛んだ俺は床を転がりながら壁に衝突して、まともに動けずにうずくまる。


(ゴフッ………やっちまった……)

 

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