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第381話 扉が中々開かない


◆タクトの視点


 さっきも同じようなところを通った気がする。


「どこだここは?……ヤバい!道に迷った!こんなところでウロウロと歩き回っている暇ないんだぞ!」


 俺は頭を抱えた。



「コラ!足が当たっておるもう少し詰めよエメリア」

「え〜〜ロームだって肘当たってるよ〜!もうちょっとそっち行って!」

「アタタタタ……無茶するでない。関節が決まっておるではないか、そっちが空いておるのじゃ」

「うっ〜もう!羽が当たってるしまってよ〜ローム」


 この人達、人のポッケで何をしているのやら、少しはこっちの気持ちも理解してほしいものだね〜


 イラッとする俺………

 

 ん!……待てよ。

 なんで気づかなかったんだ!?


「エメリア出て来い!」

「は〜い!」

 

「ウゲッ」っとローム先生の声、エメリアは先生を足蹴りして勢いよく出る。


「ウゴっ!?」

 そしていつも通り俺のアゴ下にクリーンヒット、無駄なところで大ダメージだよ!


 アゴを擦りながらまずはエミリアを注意、元気よく「分かった」と返事を返してくれたが、これで何度目だろう。これも子育ての悩ましいところか、ま〜俺には子供は居ないけど……


「エメリア、エリックの匂い覚えているか?」

「う〜んっとね!う〜んっとね!エリックって誰?」


 ガクッと来る。確かにちょっと前過ぎて覚えていないか、仕方ない。

 俺はエリックとラウラと会った時の話を説明した。エメリアも名前は覚えていなかったが出来ごとは覚えていてくれた。



「わあぅ!あの時のお兄ちゃんとお姉ちゃんだね。思い出したよ。う〜っと、う〜っと、あ!匂いがする。すぐそこに居るよ」


 よっしゃー!………って、え!?

 エメリアについて行き角を曲がると豪華な大きな扉が、なんだよ後一歩のところかよ。



「ま〜こんなもんだよな。エミリアサンキュー」

 俺はエメリアを呼んで頭を撫でてやる。


 さてと……この中に二人とボルジア公爵が居るのか、

出来れば気付かれないように入りたいけど、そうはいかないよな。こんな大きな扉を開いたら視覚的にも音的にもバレるな。諦めよ。


 俺は扉を押す。



「ん?あ?おりゃ〜あ…あ…あ…あぁぁ?…………」

 扉が全然動かん!俺の力不足?それとも鍵でもかかっているのか?くっそ!叩いたら開けてくんないかな。


 俺はゴンゴンと扉を叩くと逆に殴られた。


「痛ってぇー」

 顔面を殴られた。でもどこだ?周りを見渡しても誰もいない。まさか透明人間?それともアイリスと同じく認識阻害スキルか?


「オラはここだど」


 声が聞こえる。………でも居ない。


「オラはここだと言っとるだど」


 でも聞こえる。………でも居ない。


 目の前には大きな扉だけだ。

 見上げると扉には大きな目がついていた。


「………へぇー……異世界の扉には目がついているんだ〜」

 驚いたけど、異世界だと思うと何でも納得出来る。


「たわけたことを言っている場合か!扉が喋るなど、

危険かも知れん!タクト離れんか!」


 先生とエメリアはだいぶ離れている。

 確かに得体が知れないから危ないか…え!?


 扉が開いた。でも赤いし臭い。上と下には白くてギザギザしたものがいっぱい付いてる。


「バカもん!それは口じゃ!喰われるぞ!はよ下がらんか〜」


「………うぇ〜〜!?」

 慌てて先生達の下へ走って逃げた。



「お前ら……誰だか知らん。ここを通すわけにはいかんからどっかいけ」


 扉が喋った。最初と違って扉には目、鼻、口そして腕まであった。そっか、さっき殴られたのはアレで……ちょっとキモい。



「えーーっと、どうしたら通してくれます」


「通さないと言ったであろう。お前達は登録されていない」


 コイツは俺の話を聞く気はなさそうだな。

 どうすっかな〜


「タクト面倒じゃな〜、どうせ今の我らは賊と変わらん。力尽くで行けば良い」


 ローム先生は地面から大筒を作り出し、そこに岩石を詰める。


「吹っ飛びなさい!『ロックキャノン』」

 超接近からの大岩が扉に飛んで行く。



「オンドリャー舐めんな!羽虫が!」

 

 平面的な扉が立体化、顔が出て来たと思ったら飛んで来る岩石に頭突きをする。


「うごぁ!?痛てぇな〜おい!」

 

 デカい顔が涙目で唸っている。

 オイオイ言って泣くオッサン顔は思いのほか見ててキモい!……じゃないか、硬いな…あの扉。この程度では開かないか、そんじゃ〜いっちょ!ハンマーでぶっ叩いて開けされる。


 俺はハンマーと取り出すと気合を入れて振りかぶるのだが、その横をすり抜けて飛んでいく者がいた。


「あの扉を開ければいいの〜?」


「ん?あ…あ〜そうだけど」


 エメリアが不意に言うもんだから自然と答えてしまう。


「分かった〜行ってくる〜」

 行ってくる〜って、エメリアどこへ?


 スイーッと飛んで行き、扉を方に飛んで行った。


「…………エメリア!?危ない戻って来い!」


 扉は当然止まれと睨みつけるが、エメリアはそんなことは気にしない。むしろ気づいてすらいなさそうだった。


「おいチビ!聞いていたか!通さんと言っているだろうが」


「うん?……なんで通してくれないの?」

 エメリアは不思議そうな顔をしていた。

 たぶん理解が出来ていない。


「でもタクトが通りたいんだって、だから開けて」


「ダメだ!どっか行け!」


「ムッ!イヤ!行くの!」


 エメリアは言うことを聞かずに扉を押した。


「フッ…無駄だぞ。チビ、お前如きが開くことなど出来ない。いや誰であっても、開くわ?け?が!?」


「うんしょ!うんしょ!うんしょ!」

 扉がギリギリと開く。

 

「おい!何でだ開くわけが!一体どれだけの力がいると思っているのだー!」


「うん………しょーー!」

 

「あ!あ〜あ〜」

 エメリアが思いっきり押したら扉が勢い良く開き……外れた。


「タクト開いたよ〜」

 嬉しそうに振り向くエメリアに苦笑いで返す。

 

 エメリアは一体何者なのか改めて気になるところだが、俺は中の状況を見てすぐに気持ちを切り替え部屋の中へと急ぎ向かった。

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