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第38話 マルクトに到着


 俺はノルンの剣術が格段に上がっていたことに驚きボケーっとその姿を見ていた。


その頃アポロンもまた襲われていた。


「テメェーが地獄を見ろ!」

 棍棒を片手にアポロンに突撃する盗賊、ゴンッと硬い音と共に宙を舞った。


「あぁー主よ、お導下さい、この何の役にも立たない害悪のクズどもに地獄を!」

 アポロンは盗賊が密集している場所の中央に凄い速さで移動、ゴンッ、ゴンッ、ゴンッと3連発、盗賊達が一気に吹っ飛んだ。


「つえー……」

 アポロンは拳一つで盗賊を難なくぶっ倒す!

 そう言えば思い出した。俺達同年代の中でもアポロンは断トツに強かったけ、確か神父さまから変わった武術を習っているって言ってた気がする。


 アポロンの体格からは想像出来ない力でどんどんと盗賊がぶっ飛び、張っ倒されていく。


 なんか俺だけは置いてけぼり状態、色々と驚かされ周りへの注意が薄れていたようで、俺の後ろに盗賊のお頭が立っているのに気づけなかった!


「オラークソガキ共、動くんじゃねー、こいつをぶっ殺すぞ!」


 油断したわ〜苦しいし!クセェー

 俺は盗賊に首を絞め上げられるように捕まった。さすがは盗賊、何日身体洗ってねぇーんだよ!絞められるよりキチィー


「ちょっと、タクトに触るんじゃないわよ!もしもタクトに怪我でもさせたら、あんたの毛むくじゃらの頭をツルツルにカットしてやるんだから」


 キャーノルンさん格好いい!

 ついでに腕毛も切って〜チクチクする〜。


「はぁん!嬢ちゃん威勢が良いのはそのくらいにしな。これだけの事をしてくれたんだ!ただじゃ〜済まさね〜」

 盗賊が怒りさらに腕が絞まる。

 イテェ〜なんでこいつの毛はこんなに硬いんだよ!



 アポロンは何かに気がつく。

「盗賊のおっさん、神はやっぱりあんたを許さないとさ、俺にやられておけば良かったのにな!」


 はぁ?と意味が分からないと言った顔になる盗賊、その間にも彼の後ろに近づく者達が居た。


「分けのわからねぇー事を言ってるんじゃ……」

 盗賊が突然黙る。と言うか喋れない!

 

 盗賊の首には赤いムチが巻きつき息が出来ずに、バタバタと腕を動かす、俺はその隙に盗賊から離れると状況が分かった。


「あら〜ずいぶんと楽しそうなことをしているのね。私も混ぜてくれるかしら」

 そこに現れたのはスカーレット様!

 ギリギリと盗賊の首を絞め上げながら笑っている。

 このお母様こえ〜よ〜


「ダメね!面白くもなんともないわ!」

 なぜかは分からないが急につまらない顔をして、スカーレット様はムチを引き盗賊を転がし拘束を解く。


「ゴホッゴホッ……くそ〜アマが!殺してやる!」

 怒りだす盗賊。


「それはやめてくれないか!私の大事な妻なのでね」

 今度はバロン様が現れ、スカーレット様と盗賊の間に割って入った。


「何だ!邪魔するんじゃねー」

 剣を片手にバロン様に立ち向かう盗賊。

 なんと無謀なことをする。

 バロン様はこの国で最強と言われている剣聖と互角に闘ったと言われた強者、その辺の盗賊が相手になるわけがない。

 

 バロン様は盗賊の剣先を見切り、ピタリと人差し指と中指でハサミ、真剣白刃取りを見事にやってのけた。


「ひぃ~……バカな!そんなこと……」

 怯む盗賊は一步二歩と後退していく。

 

 盗賊は下がるとドンッと何かにぶつかり振り返ると、優しそうな男が立っていた。


「やぁー、息子が世話になったね!ちゃんとお返しをさせて貰うよ!」

 優しそうな顔の裏にはしっかりとした怒りを感じる。あれってお父さんだよね!


 お父さんは屈むような動きをしたと思ってら、手が一瞬動いたように見えた。


「へぇ!?……あわととも、ダメだー」

 盗賊は尻餅をつき倒れる。

 盗賊は立ち上がろうとするが、全然足が動いていない。お父さん……一体何をしたんだ?


「タクちゃん大丈夫!ケガとかしてない!どこも痛くない!それからそれから……」

 母さんどこも怪我してないから!服を脱がそうとしないでー


 それから盗賊は全員縛り上げて、次に町まで連行し屯所に受け渡すことになった。


 思いがけないところで、アポロンやバロン様達の強さを目の当たりにすることが出来た。俺はまだまだ強くなるためにレベルを上げないといけないと強く思った。


…………………………



 それから約一週間かけ、セドリック領の中央都市マルクトに到着する。


 あ〜ここまで遠いとは……想像以上だった!だけどノルンや父さん、母さんと一緒だったから楽しい旅行が出来た気もするな!ま〜まだ途中だけど!


 俺はあまりにも遠かったので一瞬やりきった感がついつい出てしまった。


「あ!タクト、マルクトが見えたわよ!こっちに来て見てよ!」

 俺が考えごとをしていると、ノルンに馬車から引っ張り出される。


「おーー!!でっかー!スゲー」

 俺はその光景にあまりにも安易な表現で驚いてしまった。ちょっと恥ずかしい。

 

 俺達はマルクトの正門で町に入るための検問を受ける長い行列に並んでいるのだが、想像以上の迫力にファンタジー感を感じていた。

 

 町は巨大な城壁に囲まれて、城壁の上には何やら大砲やバリスタのような、町を守るための兵器がズラーッと並んでいる。その辺の町とは守りの堅さが段違いだ。それにまだ町に入る前ではあるが人が多く、そしてそれはヒト族だけではない。多くの種族が一緒に並んでいた。


 あれは獣人かな?猫や犬、それにゴリラ?いや、あれは毛深いおっちゃんか?


 俺は馬車から顔を出しジロジロと周りを見回していると、エルフだ!初めて見る。やっぱり美形だやっぱりファンタジーと言えばエルフって感じたしね。


 エルフは視線に気がついたのかこちらに振り向いた。


「やぁ!奇遇だねタクトくんもこの町に用かな?」


「………………」


 ドMエルフだった。

 今思えば、俺はすでにエルフを見たことがあった!なんでこいつがエルフ何だよ!忘れたくて記憶から消していた。


「アンディーか〜、がっかり!」

「おいおい!本人の前で言うかい、相変わらずタクトくんは辛辣だな〜、それはそれで嫌いではない」

 相変わらず理解に苦しむが、この世界にはMが多いのか?


 などと言うことはどうでもいいな!それよりも……


「アンディーもこの町に?旅行か何か?」

「いや、旅行ではないよ。そもそも私は常に同じ場所にいることはない。ある意味毎日が旅行だよ!」

 

 あ!そっか、アンディーは冒険家だっけ毎日が旅行か、前世の時は仕事をするので旅行に行く気力も時間もなかったからな、楽しそうで憧れるな〜。


「なんだ!タクトくんも行きたいのなら、言ってくれよ。私も一人よりたくさんの方が楽しいし」


「アンディーと!?……お断りだよ!ど〜せまた逃げたすだろ。前の件でこりてるからね!」


「アハハハ、そんな前のこと気にしてはダメだ!忘れてしまおう」


「ほぉー反省がたりてねぇーな〜」



「お!そうだ話の途中だったね。今日は昔の馴染に呼ばれてね!きっと何かの頼みごとをされるんだと思うんだけど」

 

 話を変えて誤魔化したな!ま〜いいか、こいつとは冒険も旅行も行かん!


「ふ〜んそっか、それなら変なことに巻き込まれることはないな。それじゃ〜しばらくは俺もこの町に滞在することになると思うから、厄介事はしないように」


「もう〜ヤダな〜私はいつも厄介事に巻きこまれているみたいじゃないか、本当に今回はなにもないよお互いこの町を楽しもう」


「おう!それじゃ〜な!アンディー」


 こうしてやや厄介事に巻き込まれそうな気配を感じつつ、俺はマルクトの正門をくぐるのだった。


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